2010.06.07
NHK映像ファイル「あの人に会いたい」 安部公房
YouTubeでNHK「あの人に会いたい」の安部公房編が見れる。1985年におこなわれたインタビュー。

YouTube - NHK映像ファイル「あの人に会いたい」-安部公房(Abe Kobo)
http://www.youtube.com/watch?v=1rzmlY7rQfQ



終始、安部公房らしい明晰な受け答えで、自己の小説や、育った満州などについて語っている。



例のシンセサイザーも映っている(安部公房はピンク・フロイドの大ファンで、冨田勲、NHKと並び、日本で最初にシンセサイザーを購入した3人のうちの1人)。

インタビューから、小説について語っている部分を抜き出してみよう。

安部:
だからぼくはね
結局文学作品というのは
ひとつのもの
生きているものというか世界
極端に言えば世界ですね
小さいなりに生きている世界
というものを作って提供する
そういう作業だと思っていますけどね
だからお説教や論ずるということは
小説においてあまり必要ないと思う
いわゆる人生の教訓を書く
なんてことは
論文やエッセイに任せればいい
小説というのはそれ以前の
意味にまだ到達しない
ある実態を提供する
そこで読者はそれを体験すると
いうもんじゃないかと思う

インタビュアー:
それを割合わたしなんか意味を読んでしまう
と、やはり迷路に入るということ‥

安部:
いや、迷路でいいんです
迷路というふうに自分が体験すれば迷路なんです
それでいいんです
終局的に意味に到達するのは
間違いですね
これは日本の国語教育の欠陥だと思う
ぼくのもなぜか教科書に出てるんですよ
見ていったら
「大意を述べよ」と書いてある
あれ ぼくだって答えられませんね
ひと言で大意が述べられるくらいなら書かないですよ


関連:
ウィキペディア - 安部公房
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%89..
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