2003.10.01
blogの1個のエントリーの長さ / コンテンツの粒度
blogの1個のエントリーの長さは、どのくらいが適切だろうか?

代表的なblog本『Essential Blogging』のChapter 4には、次のように書いてある。

Blog posts are typically short entries between one and four paragraphs in overall length. While this isn't a hard and fast rule, it is the norm.>(p.87「Stories Instead of Posts」)

つまり1~4パラグラフくらいが普通らしい。ちなみにこのChapter 4はRadio Userlandの解説で、Radio Userlandでは上記の意味での通常のエントリー(「ポスト」と呼ぶ)のほかに、もっと長いものを指す「ストーリー」という概念がある。

実際Dave Winerのblogを見ると、1個のエントリー(ポスト)がむちゃくちゃ短い。ほとんど全部1パラグラフで、1行というものも多い。

「ポスト」と「ストーリー」を区別するという仕組みは、「ポストってのは短いもんだろ」というDave Winerの考え方が元になっているにちがいない。

ソフトウェアの世界には、再利用可能な部品の規模の大きさをあらわす「粒度」という概念がある。例えば「ネジ」も部品だし、自動車の「エンジン」も部品だが、その部品としての大きさや複雑さ、つまりその「粒度」はまったく異なる。

コンテンツの世界にも、「粒度」のような考え方があってもいいと思う。ハードルールではなくても、blogの1個のエントリーとは大体このくらいの「粒度」だ、という共通の了解があると便利かもしれない。

例えばメールがそうだ。ひと昔前、メールが普及しはじめた頃は、メールは用件を簡潔に書くもので、手紙のように長々と書く必要はないし、なるべく1メールには1用件のみ書く、といった「マナー」がよく言われていた。

長いメールを書いてはいけない、ということはなくても、大体メールというのはこういうふうに、このくらいの長さで書く、というおよその共通理解はあったほうがいい気がする。

Dave Winerは技術的にもblogの偉大な先駆者だが、「ポスト」と「ストーリー」を区別しているというその1点だけを取っても、コンテンツにまで踏み込んで考えていることがわかる。

blogはまだ普及段階にあるので、いまのところ技術的な側面から語られることが多い気がするが、もっと普及してくれば、コンテンツやカルチャー、ビジネスなどの側面から語られることも増えてくるだろう。