2003.11.24
俳句のようなヒップホップ - fat jonの『Lightweight Heavy』
最近、fat jonの『Lightweight Heavy』をよく聴いている。

去年出た作品だが、出たときはたしか試聴したものの、大好きだった『wave motion』に比べると、地味すぎるような気がして買わなかった。

今年、Nujabesにショックを受けDIMIDというレーベルの凄さを思い知って、きっとこれもいいに違いないと信じて(この作品はDIMIDから出ている)、買ってみることにした(新作ではないので、もう試聴はできない)。

あらためて聴いてみると、『wave motion』と比べて地味ということもなく(fat jonはいわばどれも地味だ)、聴けば聴くほど良くなってくる、いい作品だった。

このアルバムの曲は、すべて日本で作られたという。そして1曲1曲に、fat jonによるちょっとしたコメントがつけられている。例えば「Day」というトラックのコメント。

everytime you experience a new one of these, you have a choice to make it priceless or make it worthless. when a new one comes, a new you comes with it. a next day is promised to no one. you can dread it or welcome it.

このコメントのように、音のほうもさりげなく、それでいて緻密で、イマジネイティヴだ。

ヒップホップというと、一般的にはダボダボの服を着て「ヨウ、ヨウ」といったイメージが強いかもしれない。しかし、fat jonのようなトラックメイカーや、例えばRob Swiftのようなターンテーブリストは、むしろ求道的な職人のようなイメージがある。(じっさい、ヒップホップという「生態系」のなかには、まるでオリンピック選手のように、一日じゅうDJの練習をしているような人種もいる)

fat jonの場合、1つ1つのトラックは名曲というよりは「小品」という感じで、少ない要素で組み立てられている。名画というよりはスナップショットに近く、いわばスケッチ、俳句みたいな感じだ。

特にこの作品は日本で作られたためか、いい意味で軽いタッチの曲が多く、まさに俳句っぽい感じがする。

Nujabesとともに、ふだんヒップホップを聴かないような人にもぜひ聴いてみてほしい音。