2003.12.21
アッバス・キアロスタミ 『5 five ~小津安二郎に捧げる~』
恵比寿の東京都写真美術館に、アッバス・キアロスタミ 『5 five ~小津安二郎に捧げる~』を観に行く。

この映画は、今日まで開催の「第5回NHKアジア・フィルム・フェスティバル」のプログラムの1つとして上映されたもの。他にも、これまで映画が禁止されていたアフガニスタン初の映画『アフガン・零年:OSAMA』など話題の作品が多い(私はスケジュールの都合で見れなかった)。


アジア・フィルム・フェスティバルのポスター(快晴で光がまぶしく、風景が反射してしまった)

アッバス・キアロスタミはイランの映画監督で、 『友だちのうちはどこ?』 『そして人生はつづく』 『桜桃の味』などで世界的に知られる。

『5 five ~小津安二郎に捧げる~』はその名の通り、5つのパートからなる74分の作品。小津というよりは、ほとんどウォーホルかと思わせるほどの実験的な作品だった。

パート1:
海岸で、打ち寄せる波に小さな流木が翻弄される様子
パート2:
海岸の通りを人が歩いたり、走ったり、話したりしている様子を固定カメラで撮影
パート3:
海岸にいる数匹の犬の様子を遠くから撮影
パート4:
海岸でアヒルの群れが散歩しているところを撮影
バタバタというアヒルの足音が生々しい
パート5:
朝の真っ暗な池で、カエルやいろいろな生き物が鳴いている
画面は本当に真っ暗、ひたすらカエルのガーガーという鳴き声がひびきわたる



明らかに普通の映画ではなく、見る人を楽しませるというよりは何かを考えさせる、まるで禅のような作品だが、私は気に入った。

キアロスタミはもう巨匠と言っていいポジションにあると思うが、 『5 five』はまったく非・巨匠的な、斬新な作品だった。小津が見たら、腰を抜かすかもしれない。

カタログにあるキアロスタミのフィルモグラフィーを見ると、最近は『ABCアフリカ』『10話』といった作品を作っているらしく、タイトルから察するに、これが最近の路線なのかもしれない。ぜひ、最近の他の作品も見てみたい。


東京都写真美術館では、「レベルX」というファミコンの展覧会もやっていた
(2月までなので、こんどあらためて見にいくつもり)


恵比寿駅構内のさぬきうどんの店で昼食