各分野のマニア消費者層の定義と特徴
asahi.comに載った「「オタク」市場、規模は2600億円 野村総研が推計」に続いて、ITmediaやCNETにも関連記事が載った。
ITmedia : 「もはやニッチではない」オタク市場はデジカメ超える2900億円
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0408/24/news054.html
CNET Japan : NRI、マニア層の市場規模推計と実態を調査--5分野で2900億円市場
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000047715,20070864,00.htm
「アニメ」「アイドル」「コミック」「ゲーム」の4分野に、asahi.comの記事にはなかった「自作PC」が加わっていて、計5分野になっている。
ITmediaのほうに載っている<各分野の消費者層の定義>がすごい面白くて、野村総研のオリジナルを見たいと思ったら、ニュースリリースへのリンクがあった。
野村総合研究所 : マニア消費者層はアニメ・コミックなど主要5分野で2,900億円市場
http://www.nri.co.jp/news/2004/040824.html
冒頭にある「特有の消費行動を示す日本のマニア消費者層(いわゆる「オタク層」)」という説明など、大マジメな分析・記述がじつに面白い。
ITmediaの記事にあった<各分野の消費者層の定義>も、ここに載っていた。末尾の「(参考資料)各分野のマニア消費者層の定義と特徴」というところ。
以下はその抜粋。
●アニメマニア
TVアニメやOVA(オリジナル・ビデオ・アニメーション)、アニメ映画の視聴を日課とするアニメ好きな層。TVアニメ番組を週2桁以上録画する人が多く、PCやHDDレコーダーを積極的に活用するなど、ITリテラシーは相対的に高い。年齢層は15歳~40代までで、男性が中心。全体市場(アニメDVD 市場を想定)の約13%が、アニメマニア層による市場となっている。コンテンツを共有していることが多いコミックマニア、ゲームマニアとの重なり度合いが高い。また、アニメ録画、PCゲームといった軸から、PCマニアとの相関も強い。
●アイドルマニア
特定のアーティストやタレントに対して強いあこがれや共感を持ち、情報収集や応援活動を生活の中で高い優先度で積極的に行う層。マニア層は男女別に主に形成され、年齢は10~30代。基本的に「現場系」(アイドルと空間と時間を共有したい人、時間面の負担が重いため10~20代の若年層が多い)と「コレクター系」(資金面の負担が重いため20~30代に分布)の2タイプおよびその複合系からなる。
●コミックマニア
同人誌即売会に参加する、あるいは同人誌を執筆する層。10~40代まで幅広く分布。少年系、少女系、アダルト系などジャンルが細分化。コミックでのキャラクターが活動の中心であり、その表現形態はさまざまな形を取る。派生系としてコスプレ、同人小説などがある。アニメマニアやゲームマニアとの重なりが大きい。
同人誌で展開されるパロディーが、プロ漫画家を生む土壌として出版業界から半ば公認されているのが特徴。
●ゲームマニア
生活時間のほとんどをゲームに費やしているヘビーユーザー層。13~24歳の若年層と30代に分布。
家庭用ゲーム市場が最も大きいが、ビッグタイトルの寡占化が続き新しいジャンルの創造がなく、沈滞気味。コアユーザーは高齢化が進み、ネットゲームや、新機軸ゲームが登場するPCゲームに流れている。ゲームメーカーとの情報交換密度が非常に高く、ゲームの拡張や改造にも参画している。
●組立PCマニア
文書作成などPC本来の使用目的を忘れ、組み立てる行為が目的化している層。余暇時間や可処分所得の多くをPC組立に投下。圧倒的に男性中心。「リッチマニア」と「ジャンクマニア」に大別される。
リッチマニアは主に18歳~30代に分布。秋葉原電気街のPCパーツショップで新製品を初期価格で購入する。新製品へのリーチ力が求められるため、比較的都市部に多く在住。インストールしベンチマークが取れたら、翌週には中古ショップで売り抜け、次のパーツを物色する。リッチマニア市場で流行したものは、1~2年遅れでメーカー製PCに取り込まれる傾向があり、PCメーカーにとっては自発的に繰り返されるテストマーケティング市場と見ることができる。
ジャンクマニアは、主に15~18歳(少数)、40代(メイン)に分布。秋葉原電気街の裏通りで、在庫処分の激安パーツや中古パーツを収集。こちらも都市部に在住。ロースペック機に最低限の機能追加を繰り返すため、不要パーツの資産価値は小さく、消費サイクルも長い。
今回の分析対象に選ばれたのは、以上5種類のマニアだ。まるで動物でも分類するかのような、あざやかな分析だ。
アニメマニアって、週2桁以上録画するのか!?とか、コミックマニアは「同人誌で展開されるパロディーが、プロ漫画家を生む土壌として出版業界から半ば公認されている」など、このへんにウトい私には、とても勉強になる。
組立PCマニアの<文書作成などPC本来の使用目的を忘れ、組み立てる行為が目的化している>という記述には笑った。
このニュースリリースには、<NRIでは今後も、車、AV機器、旅行などの分野にも対象を広げたマニア消費者層の行動実態の調査分析を進め、そのビジネス的価値を示唆していきます>とある。これは面白そうだ。
私が「マニア消費者層」に入るものとしては、本、CDくらいかなあ。それでも、昔よりは買わなくなったけど(学生の頃は、月10万円くらい買っていた)。
マニア、オタク層というのは、対象分野が何であっても、その分野にすごい金と時間をつっこんでいるわけだから、先端的消費者(いわゆる「プロシューマ」)になるのは当然だろう。
こんな感じで、日本は「総オタク化」しつつあるのかもしれない。そして、それが日本の進むべき道なのだろう。
ITmedia : 「もはやニッチではない」オタク市場はデジカメ超える2900億円
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0408/24/news054.html
CNET Japan : NRI、マニア層の市場規模推計と実態を調査--5分野で2900億円市場
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000047715,20070864,00.htm
「アニメ」「アイドル」「コミック」「ゲーム」の4分野に、asahi.comの記事にはなかった「自作PC」が加わっていて、計5分野になっている。
ITmediaのほうに載っている<各分野の消費者層の定義>がすごい面白くて、野村総研のオリジナルを見たいと思ったら、ニュースリリースへのリンクがあった。
野村総合研究所 : マニア消費者層はアニメ・コミックなど主要5分野で2,900億円市場
http://www.nri.co.jp/news/2004/040824.html
冒頭にある「特有の消費行動を示す日本のマニア消費者層(いわゆる「オタク層」)」という説明など、大マジメな分析・記述がじつに面白い。
ITmediaの記事にあった<各分野の消費者層の定義>も、ここに載っていた。末尾の「(参考資料)各分野のマニア消費者層の定義と特徴」というところ。
以下はその抜粋。
●アニメマニア
TVアニメやOVA(オリジナル・ビデオ・アニメーション)、アニメ映画の視聴を日課とするアニメ好きな層。TVアニメ番組を週2桁以上録画する人が多く、PCやHDDレコーダーを積極的に活用するなど、ITリテラシーは相対的に高い。年齢層は15歳~40代までで、男性が中心。全体市場(アニメDVD 市場を想定)の約13%が、アニメマニア層による市場となっている。コンテンツを共有していることが多いコミックマニア、ゲームマニアとの重なり度合いが高い。また、アニメ録画、PCゲームといった軸から、PCマニアとの相関も強い。
●アイドルマニア
特定のアーティストやタレントに対して強いあこがれや共感を持ち、情報収集や応援活動を生活の中で高い優先度で積極的に行う層。マニア層は男女別に主に形成され、年齢は10~30代。基本的に「現場系」(アイドルと空間と時間を共有したい人、時間面の負担が重いため10~20代の若年層が多い)と「コレクター系」(資金面の負担が重いため20~30代に分布)の2タイプおよびその複合系からなる。
●コミックマニア
同人誌即売会に参加する、あるいは同人誌を執筆する層。10~40代まで幅広く分布。少年系、少女系、アダルト系などジャンルが細分化。コミックでのキャラクターが活動の中心であり、その表現形態はさまざまな形を取る。派生系としてコスプレ、同人小説などがある。アニメマニアやゲームマニアとの重なりが大きい。
同人誌で展開されるパロディーが、プロ漫画家を生む土壌として出版業界から半ば公認されているのが特徴。
●ゲームマニア
生活時間のほとんどをゲームに費やしているヘビーユーザー層。13~24歳の若年層と30代に分布。
家庭用ゲーム市場が最も大きいが、ビッグタイトルの寡占化が続き新しいジャンルの創造がなく、沈滞気味。コアユーザーは高齢化が進み、ネットゲームや、新機軸ゲームが登場するPCゲームに流れている。ゲームメーカーとの情報交換密度が非常に高く、ゲームの拡張や改造にも参画している。
●組立PCマニア
文書作成などPC本来の使用目的を忘れ、組み立てる行為が目的化している層。余暇時間や可処分所得の多くをPC組立に投下。圧倒的に男性中心。「リッチマニア」と「ジャンクマニア」に大別される。
リッチマニアは主に18歳~30代に分布。秋葉原電気街のPCパーツショップで新製品を初期価格で購入する。新製品へのリーチ力が求められるため、比較的都市部に多く在住。インストールしベンチマークが取れたら、翌週には中古ショップで売り抜け、次のパーツを物色する。リッチマニア市場で流行したものは、1~2年遅れでメーカー製PCに取り込まれる傾向があり、PCメーカーにとっては自発的に繰り返されるテストマーケティング市場と見ることができる。
ジャンクマニアは、主に15~18歳(少数)、40代(メイン)に分布。秋葉原電気街の裏通りで、在庫処分の激安パーツや中古パーツを収集。こちらも都市部に在住。ロースペック機に最低限の機能追加を繰り返すため、不要パーツの資産価値は小さく、消費サイクルも長い。
今回の分析対象に選ばれたのは、以上5種類のマニアだ。まるで動物でも分類するかのような、あざやかな分析だ。
アニメマニアって、週2桁以上録画するのか!?とか、コミックマニアは「同人誌で展開されるパロディーが、プロ漫画家を生む土壌として出版業界から半ば公認されている」など、このへんにウトい私には、とても勉強になる。
組立PCマニアの<文書作成などPC本来の使用目的を忘れ、組み立てる行為が目的化している>という記述には笑った。
このニュースリリースには、<NRIでは今後も、車、AV機器、旅行などの分野にも対象を広げたマニア消費者層の行動実態の調査分析を進め、そのビジネス的価値を示唆していきます>とある。これは面白そうだ。
私が「マニア消費者層」に入るものとしては、本、CDくらいかなあ。それでも、昔よりは買わなくなったけど(学生の頃は、月10万円くらい買っていた)。
マニア、オタク層というのは、対象分野が何であっても、その分野にすごい金と時間をつっこんでいるわけだから、先端的消費者(いわゆる「プロシューマ」)になるのは当然だろう。
こんな感じで、日本は「総オタク化」しつつあるのかもしれない。そして、それが日本の進むべき道なのだろう。