2005.11.26
古本の 「野生の王国」、町田・高原書店
ひさびさに町田に行ったので、昔よく通っていた古本屋、高原書店に行ってみた。

私がよく行っていたのはもう10年近く前で、その頃は駅前のビルに入っていたのだが、その後移転したようで、駅から5分くらいの、ややわかりにくい場所にあった。

元は何の建物だったのかわからないが、看板がなければどう見ても店には見えない、ちょっと不思議な建物。4階建のビル一棟を全部高原書店で使っていて、なんだか魔窟っぽい。


「古書」「古本買入」の書体が心霊写真みたいで、魔窟感アップ


一見して普通の本屋ではない、異様な入口。この中に、めくるめく古本の世界が…

1時間くらいブラブラしたが、なんというか、えらい強烈な店だった。このだらしない入り口(失礼)が象徴しているように、店・建物全体が、壮大な「未整理状態」なのだ。駅前にあった頃の高原書店は、それなりに整理された普通の店だったが、それはもう影も形もなく、独自のカオス空間と化していた。

4階建の各フロアに小部屋が5~6個あり、いちおうカテゴリに分類されていて、規模としては小さい図書館くらいはある。ただ全体として雑然としており、図書館というよりは倉庫か物置みたいな感じで、どうにも「魔窟」っぽい。店の入り口(写真参照)からも、入荷したらしき古本のダンボール箱が積んであるのが見えるが、全体的にこんな感じだと思ってほしい。

とにかく店が広いので、作家別の文学全集、昔の雑誌、古い受験参考書なども、ちゃんと置いてある。こういうものは価値が低く、ほとんど商売にならないので、並の古本屋ではスペースの都合で置いていられない。しかしここでは、ちゃんと場所をとって置いてある。洋書の部屋まであって、ホコリっぽいのさえ気にならなければ、かなり充実していた。

古本屋といってもブックオフくらいしか行かない一般ピープルには、刺激が強すぎるかもしれない。全体としてホコリっぽく、未整理で、エントロピーが高い。しかし古本マニアから見れば、人があまり踏み込んでいないこの「野生」状態こそ、宝の山に見えることだろう。

なんでもそうだが、整っていないところに、まだ人が集まる前に踏み込んでこそ、いいものを入手できる。その意味では、この「野生」状態をそのまま店にしてしまっている高原書店は、未開のフロンティアだ。

古本の「アーリーアダプター」ならぜひとも駆けつけるべき、お宝スポットだろう。一般ピープルでも、こういう「ディープ・スポット」が好きな人なら、見るだけでも面白い場所だと思う。

高原書店
http://www.takahara.co.jp/
高原書店町田本店地図
http://www.takahara.co.jp/machida/index.php


オマケ :
この日、私が高原書店でゲットしたもの。

- ディドロ 『ラモーの甥』 (文庫) 1000円
岩波文庫。最近見ないと思っていたのだが、絶版になっていたらしい。親切な店員が、絶版だと確認してくれた。

- ジェリ・アレン 『トワイライト』 (CD) 400円
昔好きだったジャズ・ピアニストの名作。CDは持ってなかったので。

- ステレオラブ 『サウンド・ダスト』 (CD) 400円
渋谷や新宿などの中古CD屋では、ステレオラブの中古はこんなに安く買えない。
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