2005.12.01
日本の女性R&Bはここまで来た 加藤ミリヤ 『Rose』
このところ、毎日こればかり聴いている。


加藤ミリヤ 『Rose』 (2005)

少し前からあちこちで耳にしていた「ロンリー・ガール」が気になっていたのだが、それがこの加藤ミリヤだった。

加藤ミリヤ オフィシャルサイト
http://miliyah.com/

バイオによると、いま17才だそうだ。14才から作詞作曲を始め、昨年1stシングル「Never let go/夜空」でデビュー。ブッダブランドの「人間発電所」をサンプリングしたこの曲が大ヒット。その後2ndシングル「Beautiful」、3rdシングル「ディア ロンリーガール」(これが、私が気になっていた曲)、4thシングル「ジョウネツ」(UAの「情熱」をサンプリング)を経て、満を持してのファーストアルバムがこれだ(4枚のシングルも全部入っている)。

この作品、とにかくすごい完成度なのだ。最初試聴したとき、あまりにも完成度が高いので、Giant Swingがやっているのかと思ったが、クレジットを見たら違った。Shingo S.という人が多くの曲をプロデュースしているようだ(この人は知らなかった。要チェック)。作詞は基本的に全て加藤ミリヤ本人で、作曲にも多く参加している。

声はややハスキーで、宇多田ヒカルにもちょっと似ている。Crystal KayやShola Amaなどに似た感じもあり、かなり私好みの声。曲・トラックは、ややヒップホップ寄りのイマ風なR&B。「日本のアシャンティ」みたいな感じか。Giant Swingが作るUKっぽいタイトな音に比べると、もうちょっとアメリカっぽい、あるいはハマっぽい感じ(?)。「Beautiful」なんかはジャネット・ジャクソンみたいだし、90年代以降のR&Bから広く吸収しているのだろう。

このギャルっぽいジャケットがまぶしすぎて(?)やや抵抗がある人もいるかもしれないが、これはぜひたくさんの人に聴かれるべき、素晴らしい作品だ。個人的には、宇多田ヒカル『First Love』(1999)、Crystal Kay 『Almost Seventeen』 (2002) などに並ぶ、日本の女性R&Bを代表する傑作になるのではないかと思う。



宇多田ヒカル 『First Love』 (1999)


Crystal Kay 『Almost Seventeen』 (2002)


加藤ミリヤは自分のファッションブランドもやっているというから、大したものだ。

強くあれ あたし
now I know here I am どうか止めないで
gotta keep movin' on 動き出した
転んでも 何度も 立ち上がる
(「Don't stop!」)

こういうポジティブで、パワフルなメッセージを自分で書き、堂々と、カッコいいトラックに乗せて歌うのだ。

宇多田ヒカルやCrystal Kay、このアルバムにも参加しているm-floなんかもそうだが、ヒップホップやR&Bなどに多いこういうバイリンガル系、「半ジャパ」系の人たちは、じつに進んでいる。こういう人たちは、最新の日本人、日本に希望を感じさせてくれる「スーパー日本人」という感じがする。

加藤ミリヤ 『Rose』、私の2005年ベストディスク入りだ。


Sony Music - 加藤ミリヤ 『Rose』
http://www.sonymusic.co.jp/Music/Arch/SR/Miliyah/SRCL-6060/
全曲(ちょっと)試聴できます!「夜空」などのビデオクリップもあり!