2006.01.05
Jim HuguninによるIronPythonのデモムービー
.NETのPython、「IronPython」のベータ版(IronPython 1.0 Beta 1)が出た。

CNET Japan - マイクロソフト、オープンソースのスクリプティング言語をサポート
http://japan.cnet.com/news/ent/story/0,2000047623,20093901,00.htm

IronPython: Workspace Home
http://workspaces.gotdotnet.com/ironpython

IronPythonは通常のPythonの機能を持つのに加えて、.NETフレームワークにアクセスできる。これはWindows開発者とPythonプログラマの両方にとって、大きな可能性を開くものだろう。

IronPython開発者、Jim Huguninによるデモムービーがあった。

MSDN TV - IronPython: Python on the .NET Framework
http://msdn.microsoft.com/msdntv/episode.aspx?xml=episodes/en/20051110PythonJH/manifest.xml

デモ部分のみ
http://msdn.microsoft.com/msdntv/episodes/en/20051110pythonjh/jimhugunin_demo.asx

見てみたのだが、これがもう驚愕の内容。私もPythonエンジニアの端くれだし、Jython(同じJim Huguninによる、JavaによるPython実装)も少し使ったことがあるのでおよその想像はついていたが、それでもこれにはブッ飛んでしまった。

20分弱のムービーだが、ぜひ見る価値があると思う。いくつかスクリーンショットを作ってみたので、ここから内容を察してほしい。


Pythonの対話モード(コマンドラインによるインタラクティブ・モード)で、電卓アプリを作る。電卓上のボタンに回転メソッドを適用した結果、ボタンが45度回転している。


XAML / C#で書かれた「ImageViewer」というアプリのソースコードを編集し、「RunScript」というメソッドと、それを実行する「Run Script」というボタンを追加。「RunScript」メソッドの中でPythonエンジンのインスタンスを作成し、Pythonコードを実行させる。「C:/images/itrun.jpg」という画像を表示するようなコードを書いている。


「ImageViewer」アプリを実行。「Run Script」ボタンを押すと、「itrun.jpg」という画像に変わった。Pythonコードが実行されたことの証明。


「RunScript」メソッドを編集。今度は「Run Script」ボタンを押されたらファイルダイアログを出し、Pythonファイルを選ぶと、それを実行するように変更している。


「simple.py」というPythonファイルを別に用意しておく。


「ImageViewer」を実行。「Run Script」ボタンを押すと、ファイルダイアログが出た。「simple.py」を選択。


すると画像の上で「MSDN Rocks」という文字がアニメーションした。「simple.py」に書かれたPythonコードが実行されたもの。


以上のような感じ。
これはほんの一部なので、詳しくはムービーを見てほしい。

それにしても、この調子だとXAML(XMLによるユーザインターフェイス記述言語 MozillaのXULに類似)とPythonだけでWindowsアプリを書くこともできるんじゃないだろうか。

Unix系でも、.NETクローンのMonoプロジェクトがあるから、きっと同じようなことができるようになるんだろう。

Mozilla / Firefoxでも、いまのXUL+JavaScriptに加え、近いうちにXUL+Pythonでアプリが作れるようになるらしいので、同じような話だ(Mozillaはクロスプラットフォーム設計なので、XUL+Pythonアプリは、異なるOSにそのまま持ち込めるはずだ)。

XMLでユーザインターフェイスを書き、Pythonでロジックを書けばデスクトップアプリができてしまう時代が、いよいよ訪れる。

先ごろ、Python作者のGuido van RossumがGoogleに入ったことも伝えられたし、Python周辺の動きからますます目が離せなくなってきた。