2012.08.22
「偽500円硬貨」が大量流通
現代ビジネス - ホンモノには〝超精巧な細工〟が施されているのだが東海地方で被害拡大!「偽500円硬貨」が大量流通(2012年08月14日)
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/33233

<「これは偽造された500円硬貨です」
 日本銀行の職員は、コインをまじまじと見た後に、こう断定したという>。


(左)本物の500円玉。「00」の内側には、「500円」の文字が浮かび上がる。反射光の明暗の加減によって見え隠れする
(右)精巧に作られた偽物の500円玉。本物と比べると「500円」の隠し文字もなく、縁に入ったギザギザ模様も薄い

<今年の5月下旬、右上の写真の偽500円玉が、名古屋市内に事務所を構えるある警備会社から大量に発見された。この警備会社は、すり減り傷ついた貨幣の交換業務も行っているが、日銀名古屋支店へ500円玉を持ち込んだところ、偽造通貨として受け付けられなかったのだ。
「スーパーに設置されている銀行ATMから集金した際に、回収してしまったんだと思います。偽500円硬貨と発覚した後に警察に相談したところ、捜査資料として押収されました」(警備会社職員)>

この偽500円硬貨はよくできているようだ。こうして並べて比べるとわかるが、単に店などで受け取っても、まず気づかないだろう。

ウィキペディア - 五百円硬貨
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%94..

<五百円硬貨(ごひゃくえんこうか)は、日本政府発行の貨幣。五百円玉(ごひゃくえんだま)とも呼ばれる。額面500円の硬貨である。1982年4月に五百円紙幣に代わり登場した。2000年8月にデザインと材質が変更された>。

<記念硬貨などを除いた一般流通硬貨では、世界で有数の高額面硬貨である。登場当時も、スイスの5フラン、ドイツの5マルク、スペインの500ペセタ硬貨と並び、高額面硬貨として話題になった。このことが韓国の500ウォン硬貨などの低額面の硬貨による大量の通貨変造事件(後述)を招き、2000年にはマイナーチェンジを余儀なくされた>。


五百円ニッケル黄銅貨(2000年~)素材:ニッケル黄銅(洋白


五百円白銅貨(1982~2000年)素材:白銅

<旧硬貨が銅75%、ニッケル25%の白銅製だったのに対し、新硬貨では銅72%、亜鉛20%、ニッケル8%のニッケル黄銅製となった。これにより電気伝導率などが変わるため、機械での偽造硬貨の検出が容易になった。またこれにともない、色がやや金色がかり、質量も少し減っている>。

<最も目立つ変更は、表裏のデザインのマイナーチェンジである。表では、「日本国」「五百円」の背景部分が凸になっている。裏では、500の「0」の内側に穴が描かれておらず、「5●●」のようになっている。さらにその「0」の部分には角度によって「500円」の文字や「縦線」が浮かび上がる潜像が施されている。その他、肉眼では分かり辛いが両面それぞれに小さく「NIPPON」という文字が彫られている>。

このウィキペディアの解説によると、500円硬貨は1982年4月に登場し、2000年8月にデザインと材質が変更された。その2000年のマイナーチェンジの原因となったのが、韓国の500ウォン硬貨をもとにした変造硬貨だったという。

現在流通している2000年発行のニッケル黄銅貨は、500の「00」のところに凝った細工がしてある。手元の実物で確認してみたが、ウィキペディアの解説通りで、硬貨の角度を変えていくと、ヨコ線の中に「500円」の文字や、タテ線が浮かび上がる(これを「潜像(せんぞう)」加工というらしい)。冒頭の記事の写真は、ちょうど「500円」の文字が見える角度から撮られている。

500円硬貨の現物が手元にあったら、ぜひ確認してみてほしい。それがいかに細かい金属加工でできているか、実感できるだろう。冒頭の記事の偽500円硬貨も、やはりこの部分が再現できていないようだ。これを模倣するのは相当に難しいだろうし、仮にできたとしても、莫大なコストがかかってしまい、ニセ金づくりがペイしなくなる気もする。

なお、ウィキペディアの「硬貨」のページによると、日本の500円硬貨は、世界の硬貨の中でもっとも額面価値が高いらしい(記念硬貨などを除いた、広く使われている硬貨としては)。額面価値が高いゆえに、ニセ金のターゲットにもなりやすく、よって模倣できないような高度な加工が必要になるわけだ。


関連:
日本銀行 - にちぎん☆キッズ/お金博物館
http://www.boj.or.jp/z/kids/matome/himitsu_3_05.html
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