2003.11.28
秋場カンペーはアートだ
『秋場カンペーのアキバボ~ン!!』を購入。
めちゃめちゃ面白い。

秋場カンペーは、以前テレビで見て、その面白さに目が釘付けになった。

秋場カンペーは、テレビの収録で使われる「カンペ」(スタッフが出演者に指示を出す「カンニングペーパー」)を、ネタのツールとしてテレビの画面内に持ち込んだ。

この本を見ると、ネタの内容としては、いわゆる一発ギャグと言える。『ビックリハウス』や少年マンガ誌巻末、あるいはラジオの深夜放送などで脈々と受け継がれている「投稿ノリ」だ。しかしそれを紙に書いて、公の場で見せてしまったことが偉大なる一歩だと思う。

またスケッチブックを使う点では、鉄拳にも似ている。しかし、鉄拳がスケッチブックでギャグを語るだけなのに対し、秋場カンペーの場合、「カンペ」というツールを使って、あるシチュエーションに置かれた人に言葉や絵を見せ、その「見せている場面」がギャグになっている。この成り立ちが面白い。

先日、大阪心斎橋でイチハラヒロコの作品がSOGOの工事現場で使われているのを見たときも、衝撃を受けた。

イチハラヒロコの作品は前から知っていたが(10年以上前から活動していると思う)、正直あまりいいと思ったことはなかった。しかし今回、こうやって街のなかに溶け込んだ実物を見て、すごくいいと思った。

あるコンテクスト、特に公共的な場面のなかで、人に「言葉を見せる」ことの効果はじつに面白い。こういう、すぐに役に立つわけではないが、なんともいえず面白いことをマジメに探求するのが、アートの役割だろう。

秋場カンペーも、イチハラヒロコに劣らずアートだと思う。
これこそまさにパフォーマンスだ。