ガリレオの求職活動 ニュートンの家計簿
図書館で、佐藤満彦著『ガリレオの求職活動 ニュートンの家計簿』(中公新書)という本を発見。
「科学者たちの生活と仕事」という副題の通り、コペルニクス、ガリレオ、ハーヴィ、ニュートンなどの科学者たちについて、その科学的業績そのものでなく、<勤め先と懐具合>について書かれた本。
いわゆる科学者が職業人になりはじめたのは19世紀はじめ頃らしく、つまりそれ以前は科学だけでは食えなかったらしい。
歴史に名を残すほどの大科学者ならば、偉い大学教授か何かだったのだろうというイメージがあるが、この本を読むと、軍人だったり、地方の政治家、あるいはフリーターみたいな人など、科学者といっても生き方はさまざまだったことがわかる。
あとがきには、本書の動機として<科学史の本をひもといて何か物足りなさを感じるのは、一つには、科学の歴史を築いてきた主体者たる科学者たちの淡白な扱い方のためである。(中略)やはりどこか無味乾燥で、心の琴線に触れてくるものが足りない>と書かれている。
著者は本書で、科学者を普通の人間として、日々の糧を得るために苦闘する人間として描いた。ブローデルのいう「物質生活」の層、普通の人間が生きているレイヤーに根ざして書いている。
だから、この本では「歴史が立っている」感じがする。大科学者といっても、その時代を必死に生きていた人間だったことが伝わってくる好著。
著者の佐藤満彦氏は、専攻が植物生理生化学で、著述や科学史が専門というわけでもないようだが、じつに「読ませる」。
「科学者たちの生活と仕事」という副題の通り、コペルニクス、ガリレオ、ハーヴィ、ニュートンなどの科学者たちについて、その科学的業績そのものでなく、<勤め先と懐具合>について書かれた本。
いわゆる科学者が職業人になりはじめたのは19世紀はじめ頃らしく、つまりそれ以前は科学だけでは食えなかったらしい。
歴史に名を残すほどの大科学者ならば、偉い大学教授か何かだったのだろうというイメージがあるが、この本を読むと、軍人だったり、地方の政治家、あるいはフリーターみたいな人など、科学者といっても生き方はさまざまだったことがわかる。
あとがきには、本書の動機として<科学史の本をひもといて何か物足りなさを感じるのは、一つには、科学の歴史を築いてきた主体者たる科学者たちの淡白な扱い方のためである。(中略)やはりどこか無味乾燥で、心の琴線に触れてくるものが足りない>と書かれている。
著者は本書で、科学者を普通の人間として、日々の糧を得るために苦闘する人間として描いた。ブローデルのいう「物質生活」の層、普通の人間が生きているレイヤーに根ざして書いている。
だから、この本では「歴史が立っている」感じがする。大科学者といっても、その時代を必死に生きていた人間だったことが伝わってくる好著。
著者の佐藤満彦氏は、専攻が植物生理生化学で、著述や科学史が専門というわけでもないようだが、じつに「読ませる」。