2004.04.20
Google、東京研究センター設立へ / セマンティック検索とGoogleの「方向」
ITmedia : Google、日本語検索強化へ東京研究センターを設立へ
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0404/20/news025.html

CNET Japan :
「より質の高い検索結果をめざす」:Google、東京研究開発センターの設置を発表
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000047715,20065572,00.htm

それにしても、GmailあたりからGoogleのニュースがやたら多くなってきたが、今度は「日本」だ。

ITmediaの記事によると、

<これまでGoogleの日本語検索エンジンは、英語用のエンジンをベースに米国本社でローカライズしていた。東京研究開発センターでは、日本語に特化した検索アルゴリズムなどを研究し、日本語専用の新しい検索エンジンの開発を目指す>

とのこと。

両方の記事をあわせると、要するに

- 日本語検索アルゴリズム・検索エンジンの開発がメイン
- それ以外のことも研究する

ということのようだ。

CNETの記事のほうには、

<ロージング氏によると、現在の検索技術はシンタックス、つまり構文に基づいたものだというが、今後セマンティックス、つまり意味論に基づいた検索もできるようにしたいとしている>

とある。

Googleがセマンティック検索を研究していないはずはないのだが、このようにはっきり言及されると、「ああ、いずれそれが来るんだな」という実感がわく。

セマンティック検索は、いまあるWebリソースをそのまま対象にするというよりは、まずはメタデータやリソース間の関連情報をたくさん「入力させる」ことがかなり必要になる。

そう考えると、検索語くらいしか入れるものがないデフォルトGoogleから、OrkutやGmailのように、コンテンツやそのオーサリング画面まで丸抱えするサービスに走っているGoogleの動きも、納得できるものがある。

デフォルトGoogleでは、いくらGoogleのシステムがすごいといっても、全世界のWebリソースのキャッシュ(コピー)を持っているに過ぎない。規模はすごいが、元になっているリソース自体は、競合他社でも誰でも手に入れられるものだ。

これに対してOrkutやGmailでは、そのリソース自体もGoogleが独占的につかむことになり、他の誰もそこにタッチできない。リソースやコンテンツ自体をつかんでしまえば、最大の「制覇」になるだろう。

このGoogleの「方向」と、セマンティック検索の技術が合体すれば、ものすごい競争優位を確立できるのではないか。

デスクトップを半ば独占しているMicrosoftでさえ、例えばExcelのファイルがOpenOfficeで開けるわけで、リソース自体がMicrosoftのアプリケーションに「ロック」されているわけではない。

これに対してOrkutやGmailは、まずWebアプリケーションであり、またその奥にあるリソースも含んだシステムなので、リソース自体に誰もタッチできない。これは考えようによっては、Microsoft以上の「ロック・イン(抱え込み)」が実現できるとも言える。

リソース、データが「どこにある」のかが、これから最大の焦点になってくるはずだし、そこがGoogleの「戦略軸」にもなっている気がする。

Google、Orkutを統合へ / これからのソーシャルネットワーク技術の方向」でも書いたが、GeoURLやXFNなどの「lowercase semantic web(小文字のセマンティックWeb)」と呼ばれる一連の動き・技術は、上に書いたような意味での「Google」にとって、ライバルになるとも言える(それは現状のWebリソースを動かさずに、そのままでメタデータやリソース関連情報を埋め込む)。

いま、Microsoftの技術をオープンなもので代替するプロジェクト・試みがたくさんあるが(MS Officeに対するOpenOffice、.NETに対するMono、COMに対するXPCOM、Outlookに対するChandler、など)、このように四方八方からオープン技術による挑戦を受けざるをえないのは、Microsoftがいまのところ「強すぎる」からだ。

最近のGoogleの動きを見ていると、そのあまりの勢いゆえに、このMicrosoftのポジションに、今後Googleが収まる可能性すらあると思えてくる。Googleが四方八方から、オープン技術による挑戦を受けるという構図だ。