2005.01.11
ヘナート・モタ・イ・パトリシア・ロバート 『ドイス・エン・ペソア』
世界じゅうの言語に興味が出て以来、なぜか世界じゅうの音楽にも興味が出てきている。

新宿Flagsのタワレコで、ふだんはあまり寄りつかない9Fのワールドミュージックコーナーに行き、いくつか試聴してみた。

そこで聴いて一発で気に入ったのが、このヘナート・モタ・イ・パトリシア・ロバート『ドイス・エン・ペソア』というブラジルの作品。<ボサノヴァより、もっと親密。サンバより、もっと儚く。二人の歌声とアコースティックなアレンジが美しい2枚組の大作>というキャッチがついているが、いわゆるボサノヴァと言って良さそうだ。

私はブラジル音楽はぜんぜん詳しくないので、この作品の良さを説明するボキャブラリーを持っていない。これを出しているNRTというレーベルのページで少し試聴できるので、とりあえず聴いてみてほしい。

NRT : Samba-Nova Collection
http://www.nrt.jp/menu/sambanova/vol1.html
(これの下にあるほうの作品。この「Samba-Nova Collection」シリーズの第1弾作品らしい)

<ブラジル国内で自主制作盤として2004年夏に発売、ここ日本でも某大型CDチェーンにて「本年度No.1ブラジル作品」と紹介された話題のアルバム>とここに書いてあるので、その筋の人が聴いても相当いい作品であるらしい。

この作品のテーマになっている「ペソア」とは、ポルトガルの詩人フェルナンド・ペソア(1888-1935)のことで、この2枚組全24曲のすべてが、ペソアの詩に曲をつけて演奏したものだという。ペソアのポルトガル語の詩もついている。

試聴して、まず音だけでいきなりノックアウトされてしまったのだが、ペソアの歌詞もついているということで、まさに即買いだった。こんなに素晴らしい音楽を聴きながら、これでポルトガル語の勉強ができるとは、まさに心がはずむ思いだ。

中原仁氏によるライナーにはこうある。<フェルナンド・ペソアが20世紀前半、47歳で夭折するまでの短い期間に発表した詩作は、ポルトガル語による文学の現代化を先取りし、ブラジルにも大きな影響を与えた。身近な例がカエターノ・ヴェローゾ(やっぱり!)。カエターノは著書『ヴェルダーヂ・トロピカル』の中で「大学生時代にペソアの『メンサージェン』を読んで強い影響を受けた」と記している>。

ペソアという詩人も面白そうだ。このアルバムは、いい音楽、ポルトガル語の教材(私にとっては)、そして優れた文学作品でもあるわけだ。

ただ私の場合、こんなにいい音楽を聴いてしまうと、もっと聴きたくなって、似たようなものや影響関係などを追わずにはいられなくなるので、そこがおそろしい。ブラジルはこれまでいちども本格的に聴いたことがなかったのだが、これでついに、ブラジルにハマってしまうかも。語学よりもそっちに熱心にならないよう、注意する必要がある。

じっさい、もう何回もくり返し聴いているが、まだポルトガル語の勉強は始まっていない…。

追記(1/12):
2枚組の1枚目ばかり何回も聴いていたのだが、2枚目を初めて聴いてみたら、
なんともガックリ来る内容でした…(ボサノヴァじゃない、なんかバラードみたいなやつ)。
同じ人とは思えないくらいの落差で、なんでこうなるの?ってツッコミ入れたくなる。
まあ1枚目だけで十分に価値があるので、2枚目はそっとしまっておく、ということで。