2005.01.10
山本真司 『30歳からの成長戦略』
先日ちょっと書いた、山本真司『30歳からの成長戦略』という本をさっそく入手。

う~ん、これはすごい本です。衝撃。

私もまだ読んでいる途中で、Stylish Ideaの新井さんもそうであったように、中身がありすぎて、またある種興奮のあまり、ひとことで感想を書くのがむずかしい。

まずひとつだけ紹介するなら、この本の構成のベースになっている「成長戦略マトリックス」の図がいいと思う。


(この図は、本に載っている図をマネして私が作ったものです)

この本のオビには<「大衆化するビジネス・スキル」では差別化できない!>とある。この本を読むとわかるのだが、この本のエッセンスはこのひと言に集約されている。「成長戦略マトリックス」の図も同じことを言っているが、大衆化する「ビジネス・スキル」(ヨコ軸)は当然必要な前提条件で、さらにそれを超えるイノベーション・差別化(タテ軸)が必要だ、というのが本書の骨子だ。

<大衆化する「ビジネス・スキル」>とは、ひと昔前はコンサルタントくらいしか知らなかったビジネスの知識(ファイナンスやマーケティングなどのMBA科目や、ドラッカーやポーター、クリステンセンetc)が、いまや本屋にあふれかえり、大衆化したことを指す。大衆化したので、もちろん知っている必要があるが、そこだけでは差別化できなくなった。

そこで「成長戦略マトリックス」ではタテ軸にある「イノベーション」が必要になる。これは「イノベーション」である以上、マニュアルみたいなものをただ学ぶというわけにはいかず、だからこそ差別化にもなる。私の理解したところでは、本書ではそれについて、「誰も追いつけないくらいひとつの分野を極める」「イメージを重視した思考・発想法」などのヒントを与えている。

また第3章で、学習プロセスについて「アウトプット志向」を説いているのも印象的だった。単にいろいろ学ぶ(インプット)だけではダメで、アウトプットを志向して、そのためにインプットする、という順番にする。

第6章「付加価値を高めれば、資源はついてくる」では、「時間・金・人脈は、それを得ようとして追いかけてもムダだ」という主旨で、じっくり自分の価値を高めるしか道はない、と説いている。自分の正味価値以上に自分を「高く売る」ことはできず、一時的にできたとしても、バケの皮はすぐにはがれるのだ。

第8章では、第7章までのビジネス・スキルを「論理的思考(ロジカル・シンキング)」と特徴づけ、これを超えるものとして、イメージを中心とした全体的思考を紹介している。この論理的思考と全体的思考を矛盾させないまま、折衷もさせないまま「共鳴」させる思考が提唱されている。

この本を読んでの個人的な収穫は、自分の「ポジショニング」が明確化できたことだ。私は「成長戦略マトリックス」の図でいえば、おそらく「変わり者」の部分に入る人間だと思う。私の場合は、むしろイメージ思考のほうに慣れていて、横軸のビジネススキルが欠けている。また、自分は漠然としたインプットばかり多くて、アウトプットが少ないことも痛感させられた。

以上、私なりのパラフレーズや、私が誤解している部分もあるかもしれないが、印象的だった部分をピックアップしてみた。この本は、ほとんどどこを開いても、ピンと来ることが書いてある。

この『30歳からの成長戦略』は、30歳とか、ビジネスパーソンとかに関係なく、「自分を鍛える」ということをマジメに考えているすべての人にとって、目が覚めるような本になるのではないか。私の知る限り、こういう本はいままでなかったように思う。

2005年のはじめに、この本に出会えて良かった。今年のマイベスト本のページを作って、この本を入れておきます。

山本真司 『30歳からの成長戦略』ブログ
http://blog.livedoor.jp/syamam01/