2005.01.09
原子スイッチ
科学技術振興機構 : 究極のナノデバイス「原子スイッチ」を開発し実用化にも目途
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20050106/

<このたび開発した「原子スイッチ」は、これまでの半導体デバイスが電子の移動を制御することによって動作しているのに対し、原子の移動を制御して動作させる新しい原理のデバイスである。電子より重たい原子の移動を利用するにもかかわらず、ナノ寸法のデバイスを実現することによって、これまでの半導体デバイスを凌駕する機能の実現が可能であることがわかった。この開発は、固体電解質とよばれる物質の特性をうまく利用すれば1個~数個の原子の移動をナノ寸法の精度で制御できるという発見と、その現象の機構を詳細に解明する基礎研究に基づいてなされた。
 コンピューターは巨大な数のスイッチの集合体と言えるが、現在そこに用いられている半導体トランジスターのようなスイッチの微細化と高性能化は極限に近づきつつあり、物理的にも経済的にも限界を迎えようとしている。原子スイッチは、半導体スイッチに比べて、「寸法が小さい」、「消費電力が少ない」、「不揮発性である」などの優れた特徴をもつので、いたるところに小型で高性能のコンピューターが存在するユビキタス情報通信社会の実現に寄与するであろう。さらに、「学習機能をもつ」という半導体デバイスでは実現が容易でない特徴を「原子スイッチ」はもつため、人間の脳の神経回路網に類似した機能をもつコンピューターの開発などへの応用も期待される>。

日経ITPro : 原子を動かしてオン/オフするスイッチ素子が登場,消費電力が100万分の1に
http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/NBY/NEWS/20050107/154516/

<物質・材料研究機構や理化学研究所などによる研究グループは2005年1月6日,金属原子の伸び縮みによって電流をオン/オフするスイッチング素子「原子スイッチ」の試作に成功したと発表した。現在の電子回路のスイッチング素子として使われる半導体部品に比べて低い動作電圧でスイッチングできるのが特徴。今回試作した原子スイッチの動作電圧は600mV。加えてスイッチのオン/オフは電圧をかけない状態でも維持されるため,半導体部品の100万分の1程度に消費電力を削減できるという。構造が単純なので微細化にも有利。10nmの立方体程度の大きさに一つのスイッチを作り込める。今後は携帯情報端末や携帯電話向けのプロセッサやメモリーとしての実用化を目指す>。

<スイッチの機能はトランジスタより多い。原子スイッチは電圧をかける回数で移動する銀原子の数を制御できるため,1回目のオン状態と2回目のオン状態で流れる電流の量を変えられる。この性質を利用すると,複数ビットを記憶できる多値メモリーや脳の神経細胞(ニューロン)を模倣した回路を一つの原子スイッチで作成できる>。

<同研究グループは既に原子スイッチによるAND,OR,NOTの論理演算回路を試作。この基本回路を組み合わせることで,コンピュータに必要な論理回路をすべて形成できる。将来は10mVの動作電圧で1GHz超の動作が可能だという>。

仕組みはよくわからないが、これはすごそう。
要は、コンピュータがものすごく小さくなり、消費電力もものすごく少なくなるということか。

あと「不揮発性」、「学習機能をもつ」、「複数ビットを記憶できる多値メモリーや脳の神経細胞(ニューロン)を模倣した回路を一つの原子スイッチで作成できる」辺りも気になる。

「原子スイッチ」、しばらくウォッチしたい。
近い将来、これで「コンピュータ」のかたちがかわるのだろう。