2005.02.17
ビーチ・ボーイズの 『TODAY!』 『SUMMER DAYS』
先日、なぜか発作的にビーチ・ボーイズが聴きたくなり、DVDつきの『SOUNDS OF SUMMER』というベストを買った。

私はビーチ・ボーイズは初期の有名曲(「サーフィンUSA」とか)と、『PET SOUNDS』、「Good Vibration」くらいしか知らなかった。そのほかにも断片的には知っている曲はあるが、これほどたくさん、まとめて聴いたのは初めてだ。

『SOUNDS OF SUMMER』を聴いて、私がなんとなく知っていた「Help Me, Rhonda」や「Do You Wanna Dance」、「California Girls」などの曲がいかに素晴らしい曲だったか、初めてちゃんと理解した気がする。

調べてみると、それらはみな初期と、『PET SOUNDS』のあいだにある曲らしいことがわかった。『PET SOUNDS』や「Good Vibration」などは前から大好きだったが、初期とそのあいだを私は知らなかった。

そこで、「Help Me, Rhonda」や「Do You Wanna Dance」、「California Girls」など、私の好きな曲が入っている『TODAY!』と『SUMMER DAYS』を買ってみた。

それぞれのオビから、アルバムの紹介文を引用してみよう。

『TODAY!』は、<ツアーを降りスタジオ・ワークに専念したブライアンの才能が一気に花開いた名盤。フィル・スペクターが確立したウォール・オブ・サウンド手法を完全に消化し、駆使した最高傑作の呼び声高い1枚。(全米4位、全英6位)1965年3月発売>。

『SUMMER DAYS』は、<「カリフォルニア・ガールズ」「ヘルプ・ミー・ロンダ」など、どの曲をシングルにしても良い程の充実した内容。1965年7月発売>。

なんと、こんなすごい作品を4か月しか間をおかずに出していたのだ。

『TODAY!』は、芝生のうえでメンバー5人がセーターを着ているというジャケットで、初期の「ビーチ・ボーイズ」のイメージはない。「Do You Wanna Dance」「Dance, Dance, Dance」など、ビーチ・ボーイズ流ウォール・オブ・サウンドがカッコいい作品。

『SUMMER DAYS』のほうには、泣ける名曲「Let Him Run Wild」が入っていた。私がビーチ・ボーイズで1曲選べと言われたら、きっと「Good Vibration」か「Let Him Run Wild」になると思う。

なるほど、『SUMMER DAYS』では「Help Me, Rhonda」「California Girls」「Let Him Run Wild」と並んでいたわけだ。この3曲最強。こりゃすごいアルバムだ。

初めて聴いた「Then I Kissed Her」や、ボーナストラックで入っているシングルの「The Little Girl I Once Knew」なども名曲。

『TODAY!』、『SUMMER DAYS』には、次の『PET SOUNDS』を予感させる部分があちこちにある。ほとんど<すでに『PET SOUNDS』が始まっている>感じの曲もいくつかある。

私はビートルズでも、『マジカル・ミステリー・ツアー』までは行かない、『リボルバー』、『ラバー・ソウル』辺りがいちばん好きだ。

ビーチ・ボーイズも、『PET SOUNDS』はたしかに素晴らしいのだが、バランス的には『TODAY!』、『SUMMER DAYS』くらいが私の好みかもしれない(曲の完成度では、バラつきがある気がするが)。

そもそも、なんで私がいまごろビーチ・ボーイズを聴きたくなったのか、自分でもよくわからない。私はもうこの10数年くらい、ブラックミュージック中心に聴いていて(テクノ、ドラムンベース、ヒップホップ、2ステップ、R&Bなど)、ロックやポップスなどはほとんど聴かないのだ。

いまの私の心境は、ブラック・ミュージックを経て初めて、「ビーチ・ボーイズを発見した」という感じに近い。それともむしろ、私はロックやポップス全体を再発見しつつあるのだろうか。

いまの私には、ビーチ・ボーイズは一種の「ソウル」みたいなものに聞こえる。ヴォーカル、ハーモニー、メロディーがほんとうに美しい。虚飾をそぎ落とした、魂に触れてくる音楽。

『PET SOUNDS』だと、まさにそんなスピリチュアルな感じで、しんみりして来るところもあるが、『TODAY!』、『SUMMER DAYS』には適度な軽さとユーモアがある(特に「Help Me, Rhonda」とか)。

音楽を聴いてこんなに心が揺さぶられるのは、久しぶりの気がする。
タグ: