2005.09.08
パッシブファンドの見えにくいコスト - コバンザメ投資と引値ギャランティー
Infoseek マネー 山崎元のホンネの投資教室 :
第十四回 パッシブファンドの見えにくいコストについて
http://money.www.infoseek.co.jp/MnSpecial/yamazaki_column14_gwm.html

TOPIX(東証株価指数)や日経平均などの指数に連動した「パッシブファンド」は、行動を先読みされてしまう点で不利だという話。

<この種のコバンザメ投資によって東証一部に上場する予定の銘柄の株価は上昇しがちになり、それでもパッシブファンドはこの銘柄を買わなければならないので、当該銘柄の株価はさらに上昇する可能性があるのですが、こうした買いが一段落した後には、株価は元の水準に戻りやすく、この株価下落はもちろんTOPIXに反映するので、TOPIX連動ファンドの投資家は、運用上、東証一部に指定替えになる銘柄を投資家が普通に評価する投資価値よりも高く買う結果になりやすく、それだけ損をしやすくなります。日経平均を目標とするパッシブファンドの場合でも、日経平均の銘柄入れ替えを予想して、除外される銘柄を先回りして売り、新たに組み入れられる銘柄を先回りして買う、といった現象が起こって、結果的にパッシブファンドが損をしやすい構造になっています>。

この手法については聞いたことがあるが、「コバンザメ投資」という名前があったのか。コバンザメに先読みされる分、パッシブファンドは上昇に乗るタイミングが遅れ、高値のほうで買ってそのまま持ちつづけるので損すると。なるほど~。

これに対して、「引値ギャランティー」というのは知らなかった。

<仮に、「Aという銘柄を引け値ギャランティーで20万株買いたい」という注文を昼過ぎに機関投資家が証券会社に出した場合、証券会社は後場の取引時間中にA銘柄をたとえば10万株自己勘定で買っておいて、大引けにかけて残りの10万株を買うと、A銘柄の引け値は高く付きやすく、そうなるとあらかじめ買っておいた10万株分が儲けになる(発注した機関投資家に対しては20万株を「引け値で」渡せばいいので)という形で、絶対ではありませんが、かなりの程度確実に儲けることができます>。

パッシブファンドが引け値で大量に買うことがわかっているので、証券会社が自己勘定である程度買っておいて、上がったところで、残りを大引けで買うと。これはひどいなあ。証券会社は手数料だけでなく、こんな儲けもあったのか。まさに情報の非対称性。

パッシブファンドは、信託報酬が安い点ではアクティブファンドより有利だが、このコバンザメ投資と引値ギャランティーがある点では不利だと。けっきょく、自分でポートフォリオを組んで売買するのがいちばんトクだという。

「人任せ」(アクティブファンド)や「自動化」(パッシブファンド)よりも自分の考えでやったほうがトクだというのは、普遍的な真理なのかもしれない。