2005.09.09
旭山動物園 「カピバラにかまれクモザル死ぬ」事件の詳細
旭山動物園に先月オープンした「くもざる・かぴばら館」で、カピバラにかまれ同居のクモザルが死んだというニュースが先日報じられた。

asahi.com : カピバラにかまれ同居クモザル死ぬ 旭山動物園混合展示(9/4)
http://www.asahi.com/national/update/0904/TKY200509030287.html

<旭山動物園(北海道旭川市)に8月に新設された混合展示館「くもざる・かぴばら館」で、クモザルが、大型のネズミの一種、カピバラにかまれ死んでいたことが3日、分かった。
 同園によると8月29日午後2時ごろ、来園者が見ている前で、カピバラがクモザルの腹など数カ所をかんだ。混合展示は、異なる動物を同じ施設にいれ、野生の環境により近くする手法。坂東元副園長は「えさの与え方などの対策を練るが、動物を深く理解するために大切な要素」としており、今後も混合展示を続けていくという>。


旭山動物園 くもざる・かぴばら館 (写真はasahi.comより)

これだけ読むと、今後も混合展示で大丈夫だろうか?とも思ってしまうが、旭山動物園の「ゲンちゃん日記」で、詳細が説明されている。

旭山動物園 : ゲンちゃん日記
http://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/files/asahiyamazoo/zoo/genntyann/kumokapi.html

<オープンしてからクモザルの気になる行動が見られました。ロープにぶら下がりカピバラにちょっかいを出す。想定していた以上に地上でくつろぐ時間が長い。それでも当初はクモザルとカピバラが目と鼻の先で昼寝をする光景が見られていました。ところが特にシャボがカピバラに与えている牧草を頻繁に横取りするようになりました。下手をするとカピバラが口にくわえてまさに食べようとしている草まで奪い取るようになってきました。クモザルにとってはそれは食べると言うよりは遊びに近い行動でした。
 カピバラにとっては食べ物を奪われることは許し難い行為です。事故の一週間ほど前にシャボが腕をカピバラ(オス)に咬まれました。それ以来,シャボはカピバラに一目置くようになり極度の接近をしなくなりました。しかし,一点シャボの気になる行動がありました。頻繁に水に入るのです。落ち葉や残念なことに来園者が投げ入れて水面に浮いているお菓子などをとりに二本足で立ち腰くらいまで入っていくのです。
 水中はカピバラの聖域でありクモザルの俊敏さという優位性はなくなります。クモザルの他の個体は水を怖がるため,いざというときには樹上に上れるポジションを取ります。シャボは水を怖がらないためカピバラとプールにはさまれるようなポジションもわりと平気でした。咬まれてこりたこと,日中にクモザルに給餌をして牧草への興味を少なくするなどの対策をして,共同生活も軌道に乗り始めたと判断していた矢先の事故でした。おそらく,何らかの形で食べ物が関わっていると考えられるのですが,確かな原因かは分かりません。シャボがカピバラの力量を見誤ったことと我々の見通しが甘かったことは確かです>。

カピバラは普段おとなしいが、くもざるが好奇心旺盛で、カピバラの食べものにちょっかいを出したために、自己防衛したというのが真相のようだ。

悲しい事件ではあるが、これはこれで「自然界のおきて」を語っている気がする。