2005.10.27
Google Baseは何かと競合するのではなく、競合をつくりだす
あちこちのブログやニュースなどで、Google BaseはeBay (物品販売)やCraigslist(Classifiedサービス)などの競合になると書かれている()。しかしGoogle Baseは、このようなバーティカル(垂直的・分野特化的)なサービスとは「レイヤー」が異なる。

Google Baseもサービスではあるが、それは「技術ベース」に近いものだ。技術的に「ベース」(下部レイヤー)に位置するので、単なる競合というよりも、それはもっと重大な変化を引き起こす。

Google Baseによって、主に

1 データがサービスから解放される
2 かんたんにサービスを作れるようになる

の2つが進行する。Google Baseは、それ自身がサービスというよりも、サービス開発者に対してデータレイヤーを提供する、というポジションになる。

Google Baseによって、「誰でもeBayやCraigslistを作れるようになる」。
eBayやCraigslistが競合するのはGoogle Baseではなく、「Google Baseを使ってサービスを作る人」だ。

Google Baseは何かと競合するのではなく、「競合をつくりだす」のである。

これによって打撃を受けるのは、まず「有償で情報を掲載しているすべてのサービス」だろう。

ブログや掲示板などは無償のものも増えたが、オークション(物品販売)や不動産情報などの「リスティング」サービスは、情報掲載が有償のものが多い。

Google Baseを使えば、リスティングサービスなどかんたんに作れるようになるだろうし、高度な検索もでき、データ量も多いので(登録が無償だから)、既存の有償サービスはいずれ成立しなくなるだろう。

有償でなく、無償で情報を掲載するサービスであっても、利便性の良くないものや、集客力の低いもの、そこにデータを入れておく意味が薄いものは、捨てられてしまう。

要するに、「データの大移動」が起こる。
Google Baseに置いておいたほうが、データの利用価値が高く、コストがかからないからだ。

さらに、ウワサされている決済サービスまでGoogleに入れば、有償サービスの構築もやりやすくなるだろう。
Googleは当然そこまで見据えて、Google Baseを出してきているはずだ。
お金のやりとりまでそこでできれば、ほんとうにビジネスができる。

それにしても、最近のWeb技術の展開の早さには、めまいがしそうだ。
この10年で起きたくらいの変化が、これから2~3年くらいで起きたとしても、それほど不思議はない。
そのペースでいくと、次の10年でいったいどこまで行くのか、想像もつかない。

アップデート(10/27) :

<決済サービスまでGoogleに入れば、有償サービスの構築もやりやすくなる>と書いたが、これは少し話がずれていた。

サービス自体が有償か無償かという話と、そのサービスが決済機能を必要としているかどうかは、別の話だ。

例えばヤフオクやAmazonのマーケットプレイスなどもリスティングサービス(掲載サービス)と言えると思うが、掲載は有償だ(いわば「掲載料」)。

仮にこの掲載が無償のサービスがあっても、物品売買のためには決済機能がないと不便だ(お金も当事者間でやりとりする必要が出てくる)。

Googleが決済サービスを始めれば、有償のサービスをやるのに便利なだけではなく、無償サービスの場合であっても、決済を使うことができる(決済の手数料は取るかもしれないが)。