2005.12.22
魂を売り渡せばそれなりに高く売れるものだが、いつかはツケが回ってくる
ITmediaニュース:ブロガーを“タレント”として育てるベンチャー
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0512/21/news075.html

<人気ブロガーを企業などに売り込むビジネスを、9月に誕生したベンチャー企業・フロンティアNEXTが行っている。有名ブロガーと専属契約を結び、提携企業の商品レビューをブログに書いてもらったり、出版社やテレビ局、ネット放送局に売り込み、書籍化や番組出演などで知名度を高めるという>。

これは面白い。「プロのブロガー」で書いたことが、まさに現実化しつつあるのだ。

ブログの影響力が大きいのはその通りだと思うし、そこに目をつけるのもいいと思うのだが、<所属ブロガー名は当面は明かさない>のは間違いだ。これでは、ほんとうに力のあるブロガーはまず協力しないだろうし、広告主になる企業のほうも、悪いことをしているような「やましい」気持ちがすると思う(そういう気持ちがしないのなら、それこそ問題だ)。

所属ブロガーを明かし、そしてブログでもはっきり「PRエントリ」などと明示したほうがいい(私は「プロのブロガー」でも、そう書いた)。有名ブロガーでも、すでにキーワード広告やアフィリエイトを入れている人はたくさんいるのだから、明示した上で収入が入るなら、やる人はきっとたくさんいると思う。

どんなメディアでも、記事と広告は違う。
記事のかたちをしていても、広告であれば「広告」「PR」などと明記されるのが普通だ。

広告主からお金が出ているのに、通常の記事と見分けがつかないように出してしまったら、他の記事の中立性まで疑われ、メディア自体の信頼が落ちてしまう。読者だって、明示された上で広告やPRが入っていることは問題ないだろうから、これはきちんと区別したほうがいい。そして、広告だから読まれないということもなく、広告でも中身があれば読まれる。

このあたりの区別をあいまいにすると、「炎上」というアクシデントでは済まず、そのブロガーの信頼自体が落ちると思うし、またそこに出稿した企業も、むしろ信頼が落ちる。

消費者が雑誌や新聞を買うのは、そこに記事があるからだ。
広告が載っていてもいいが、広告とわかり、識別できるから許されるのであって、
記事そのものが金で買収された広告だとしたら、そのメディアの信用は地に堕ちるだろう。

ブログは買うわけではなく無料で読めるが、同じことだ。
広告を、広告だと言わずに読ませるのはサギだと思う。
デジタル・ネイティブに、アレルギーを引き起こす異物とは」で言われている「ごまかし」だ。

魂を売り渡せばそれなりに高く売れるものだが、いつかはツケが回ってくるものだ。