2006.01.07
ウィキペディアの解説を読みながらYESの 『90125』 (1983)を聴く
YESの『90125』(1983)を久々に聴いてみた。

私の高校以来の友人で、アメリカン・ロックの師匠である小森が、極私的ベストアルバムに選出していたからだ。



YESは1970年代、プログレッシブ・ロックのバンドとしてキャリアを積み、いったん解散したあと、
80年代に新しいスタイルで再生した。その代表的なアルバムがこの『90125』だ。

このアルバムからは「OWNER OF A LONELY HEART」「LEAVE IT」などのヒット曲が出た。
この時代を代表する洋楽ヒットとして、よく80年代コンピなどにも入っている有名な曲だ。

私はまさに、そういう80年代の洋楽ヒットチャートを中学・高校で聴いて育った世代だ。
その頃のものを聴きたくなると、「なつメロ」としてCDで買いなおして聴いている。
この『90125』も、そんな「なつメロ」として以前買ったものだった。

しかしあらためて聴いてみて、これはたしかに素晴らしい作品だ。
「なつメロ」に終わらない、いま聴いても新鮮なカッコよさがある。

私はプログレ系はまったく詳しくないので、
ウィキペディアの解説「イエス(バンド)」を読んでみた(英語ページはより詳しい)。

<シネマとしてのデビュー作が完成というところで、ホーンやレーベル関係者の助言があり、スクワイアはジョン・アンダーソンに参加を要請、ケイも結局復帰し、'83年シネマはイエスとなった。こうして完成した「ロンリー・ハート - 90125(1983年)」は、ホーンとラビンの作品と言っても過言ではないかもしれない。ハード・ロックとダンス・ミュージックに重厚なコーラス、スパイスとして変拍子を少し。硬質で洗練されたサウンドの全く新しいこの作品を、イエスたらしめている要素もしっかりと息づいている。それはスクワイアの強烈なベースと印象的なバック・コーラス、そしてアンダーソンのヴォーカルだ。シネマとしてほぼ完成していただけに、ラビンがリード・ヴォーカルを取るパートも多いが、それでもアンダーソンとスクワイアの声があればイエスになる、と証明した作品とも言えるだろう。上述のシングルはアメリカをはじめ多くの国で1位を獲得し、イエスは再結成によって最大の成功を手にした>。

この詳しい解説を読んで、プロデューサーのトレヴァー・ホーンバグルズ(「ラジオ・スターの悲劇」が有名)の人だったのか!とか、80年代の新生イエスは半分バグルズみたいなものだとか、私の知らなかった音楽知識がわかり、実に面白い。『90125』には「CINEMA」というカッコいいインストの曲があるが、新生イエスは「シネマ」というバンド名だった可能性もあったのだ。

トレヴァー・ホーンは当時、ZTTレーベルで時の人だったが(アート・オブ・ノイズ、フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド、プロパガンダなど)、レーベル設立は1983年とあるので、『90125』リリースと同年だ。解説によると、およそバグルズ~イエス~ZTTレーベルというキャリアのようだ。

このZTTレーベルの解説文には、「ZTT」とはマリネッティの音響詩「Zang Tumb Tumb」から来ている、とある。
なんと、そうだったのか!!トレヴァー・ホーンと未来派、たしかに重なる。

そしていま気づいたのだが、『90125』のシルバーのジャケットは、
808 Stateの『90』(1989)のジャケットにそっくりだ。
その808 Stateの『90』は、ZTTレーベルから出ていたのだ。
808 Stateの『90』は、ハウスの手法をいち早くポップに持ち込んだ、きわめて先進的な作品だった。
トレヴァー・ホーン、まさに未来派だったのだ。

ウィキペディアのおかげで、私の音楽知識の断片が、いろいろつながってきた。
ますます、80年代の音楽をいろいろ聴きなおしてみたくなった。


関連エントリ :
マドンナのファースト『バーニング・アップ』
http://mojix.org/2004/04/30/003717