2008.06.24
起業はアップサイドが大きく、ダウンサイドが小さい
起業は一般的に考えられている以上に、アップサイド(トクする余地)が大きく、ダウンサイド(ソンする余地)が小さいと思う。

まず起業でいちばんいいのは、とにかく自分の好きなようにできることだ。起業には採用試験もないし、上司もいない。すべての意志決定を自分でできて、ものすごい精神的な自由がある。

そして、それと同じくらいにいいことは、商品・サービスの開発、営業、会計・税務など、会社というもののあらゆる機能・側面と向き合わざるをえないので、経営・ビジネスについての理解が深まることだ。

起業すると、うまくいけば収入が増えるかもしれないが、逆に減るかもしれない。特に最初のうちは苦しいケースが多いと思う。しかし、起業することのほんとうのアップサイド、メリットは、この経営・ビジネスの理解が深まること、「力がつく」ということだ。

お金・収入ももちろん大切だが、この「力がつく」ということの価値は計り知れない。起業によって得られる知見・経験は、多少の収入を失っても得る価値があると思う。

起業すると、失敗を他人のせいにできなくなる。すべてが自分のせいだ。仕事をとって、仕事をこなし、お客さんからお金をもらうということがどのくらいたいへんか、理解できるようになる。

私は会社に勤めていた頃、自分の給料は安いとずっと思っていた。しかし起業してからは、社員に継続的に給料を払うということがどのくらいたいへんなことかを理解し、かつての自分の給料はじゅうぶん適正だったし、あるいは恵まれていたとすら思うようになった。

起業すると、このように社員の立場ではわかりにくい、いろいろなことが理解できる。こうした知見・経験・悟りは、お金では買えない、まさに「プライスレス」なものだ。

そしてもし、起業してもうまくいかなくて、勤め人に戻ることになったとしても、起業によって得た知見や経験は残るのだ。これが大きい。

私が採用担当者であれば、起業経験があるという人は、起業に失敗したとしても、大きなプラス評価になる。まず起業することはガッツがあり、チャレンジャーであることの証明だし、また起業を通じて、会社や経営というものの全体像を理解しているはずだからだ。ガッツのあるチャレンジャーで、会社や経営の全体像も理解している人間なんて、なかなかいるものではない。会社の業種が何であっても、そして採用ポジションがどんなものであっても、それはプラス評価になると思う。

起業というのは成功すれば青天井で、限りないアップサイドがある。そして失敗しても、貴重な知見・経験が得られ、プラス評価の要因になるのだから、ダウンサイド(ソンする余地)はほとんどないように思える。

そう考えると、起業しないのは本当にもったいないと思うのだ。