2008.07.21
エスカレータの片側空けで、ほとんど全員が損をする
以前、どこかで「エスカレータで片側を空けておくのは輸送効率が悪い」という話を読んで、驚いたことがあった。

それまで、そんなことは考えたこともなく、片側を空けておくのがあたり前だと思っていたのだが、よく考えてみればまったくその通りで、軽い衝撃だった。

似た指摘を探して、増井俊之さんの昔の日記を見つけた。

大富豪家2.0の日記 - エスカレータ(2005年07月07日)
http://pitecan.com/Mixi/diary/24991895.html

<私は片側空けに絶対反対である。理由は

(1) 輸送効率の悪化
(2) 危険の増大
(3) 故障可能性の増大

である>。

この3点のうち、(2)の「危険」だというのは掲示やアナウンスでもときどきあるので、それをわかってやっている人には効果がなさそうだ。しかし(1)の「効率が悪い」というのは、意外に知られていないのではないだろうか。

特に、JRや地下鉄の長いエスカレータなどで、右側が空いているばっかりに、左側に長い待ち行列ができてしまっているのはアホらしい。

そういうとき、右側を歩いて上がっていく人がいるのは、「急いでいる」というよりも、「左側の長い待ち行列にえんえん並びたくない」という場合が大半だろう。本来ならエスカレータで歩くほどは急いでいなくても、長い待ち行列にえんえん並ばないと左側に乗れないために、しぶしぶ右側を歩いていくのだ。

そして、左側の長い待ち行列に並ぶ人だって、しぶしぶ並んでいる。特に急いでいるというほどでなくても、誰だって無駄な待ち時間はなくしたいものだ。

右側を空けるのが「正しい」、「マナー」だと考えられてしまった結果、このようにほとんど全員が損をするという愚かなことになってしまっている。

危険だとかモラル、マナーを説いても、人間はなかなか動かない。「エスカレータ片側空け」というこの愚かな慣習をなくすには、むしろ損得感情に訴えて、これがほとんど全員にとって時間の無駄であることを広く知らしめるのが有効な気がする。