2009.05.01
「モヤモヤさまぁ~ず2」の奇妙なナレーター「ショウくん」の正体は?
テレビ番組の制作では、ナレーションを文字で書いたナレーション原稿(通称「ナレ原(げん)」)をまず用意し、それをナレーターが読み上げて、ナレーションを作るらしい。

その正式なナレーションの前に、まずナレーション原稿から読み上げソフトで自動生成した音声を仮にあてておいて、それで大体のナレーションのタイミングを知り、あとから正式なナレーションに置き換える、ということをわりとやるらしい。

以前、この話をテレビ関係の知り合いに聞いたとき、そうか、「モヤモヤさまぁ~ず2」のあのヘンなナレーションは、きっとその読み上げソフトで作っているんだ、と気づいた。

そのことを思い出し、検索してみると、ズバリ出てきた。

PENTAX - テレビ東京系列「モヤモヤさまぁ~ず2」でVoiceTextが紹介されました。
http://voice.pentax.jp/blog/85.html

「モヤモヤさまぁ~ず2」のナレーションは、ペンタックスの音声合成ソフトウェア「VoiceText」というもので作っていて、「モヤモヤさまぁ~ず2」の番組内で、実際にこのソフトを紹介し、使ってみる回もあったらしい。

タケノコmaxのパソコンでオーディオ - 「モヤモヤさまぁ~ず2」のショウ君:テキスト読み上げソフトで遊ぶ
http://plaza.rakuten.co.jp/takenokomax/diary/200811110000/

<また,この番組がユニークなのは,ナレーションをアナウンサーなどではなく音声合成ソフトが担当していること。機械臭さのないその声は妙に人間っぽいところがあり,初め聞いたとき私は,つぶやきシローのような,独特の訛りをウリにしているナレーターが話しているのだろうと思ってしまった>。

そうそう、私もそう思っていたのだ。それくらい完成度が高い。

この「VoiceText」のページでは、実際に音声を聞けるデモ機能がある。

PENTAX - ペンタックス音声合成ソフトウェア
http://voice.pentax.jp/



話者(「ショウくん」以外に、女性の話者もいる)を選んで、全角200文字までの日本語を入力して「再生する」を押すと、音声が聞ける。まさに「モヤモヤさまぁ~ず2」の、あの妙なナレーションそのものだ。

商用製品のため、<当サイトの商業利用、および出力された合成音声の2次利用を禁止いたします>とあるように、2次利用などはできない。いまのところ、コールセンターなどの法人ユースがメインのようだ。

しかし、これはちょっともったいない気がする。「初音ミク」の大ブームを見てもわかるように、これを一般人向けに読み上げソフトとして発売すれば、バカ売れするはずだ。

いまやポッドキャストによる音声配信や、YouTubeなどでの動画配信もあたり前になり、それらはすべて法人でなく、一般ユーザがリードしている。この状況で、「ショウくん」くらい完成度の高い読み上げソフトを投入すれば、あっというまに広がり、デファクト・スタンダードになれると思う。

完成度が高いだけでなく、「モヤモヤさまぁ~ず2」で実際に使われているというのも大きい。声質やイントネーションにすごく特徴があるので、「ああ、あれか」とすぐにわかる。

読み上げソフトは、テレビ番組などの制作や、音声・動画を作りたい一般人などはもちろん、日本語を学んでいる外国人や、視覚障害者など、需要・応用の範囲がきわめて広そうだ。これから本格的に拡大していく「眠れる市場」かもしれない。