2009.05.19
新型インフルエンザにマスクは無力?
香港在住のbobbyさんが、今回の新型インフルエンザは通常のマスクでは防げないと書いている。

Mutteraway - マスクは新型豚インフルエンザを予防しない
http://bobby.hkisl.net/mutteraway/?p=908

<ついに日本に、新型豚インフルエンザが本格上陸したようです。朝日新聞には国内の感染者「数百人規模か」という見出しで報道しています。日本ではインフルエンザの予防といえば、まず「マスク」をする事が常識になっているようです。今朝のテレビでも、多くの人が(普通の)マスクをして道を歩いているシーンを映していました。しかし残念ながら、このような一般的なマスクはウイルス性の感染症を予防する事ができません。それは香港でSARSがアウトブレークした時に、初期の院内感染によって証明されています>。

<香港でSARSがアウトブレークし、院内感染で医療関係者へ感染が広がった時にわかった事があります。我々はインフルエンザのウイルスを直接吸い込む感染方法をイメージしますが、より効果的な感染方法は、手に付着したウイルスが、鼻や目などの粘膜から体内へ侵入して感染する方法です。ウイルスが手に付着する理由は、感染者の飛沫等により体外に出たウイルスが、もよりの手摺やドアノブ、その他の器具へ付着するからです。次にそれを触った人の手に、ウイルスが付着するのです。ウイルスは、思いもよらないところで、あなたに触られる時を待っています>。

<そこで香港では、インフルエンザの予防といえば、マスクよりも手洗い、または手の消毒(消毒用アルコールによる)が主流となっています。今回の新型豚インフルエンザでも、街のあちこちに、たちまち手の消毒用アルコール装置が置かれるようになりました。ウイルスが手に付着する事を防ぐには、手袋も有効です。(手袋で鼻や目を触っては意味がありません)>

<感染者が他者へ感染を広める事を予防するという意味でも、一般のマスクによる効果は疑問です。先に述べたようにウイルスは一般のマスクの網の目を容易にすり抜けます。感染者の「息」はかならずマスクの外で出ますから、ウイルスも「息」と共にマスクの外へ漏れていると考えるべきです。「息」と共に体外に出たウイルスは、感染者の周辺を漂い、いづれ何かに付着する事が考えられます>。

<外から帰ったら、「うがい」ではなく「手洗い」を励行しましょう。うがいもインフルエンザには意味がありません。外で喉粘膜にウイルスが付着していたら、すでに感染したと考えるべきです。うがいでウイルスを「洗い流せる」と考えるのは非科学的です>。

空気中から吸い込むのではなく、手すりやドアノブなどを手で触ることにより、手から感染するという経路も多いとのことで、香港ではマスクよりも手洗い・手の消毒が対策の主流とのこと。

私はこの情報が正しいのかどうか判断できないが、以下のニュースを読むと、通常のマスクでは無力というのはおそらく正しそうに思える。

asahi.com - 新型インフル感染者 累計130人に 銀行員や店員にも
http://www.asahi.com/national/update/0518/OSK200905180058.html

<新型の豚インフルエンザの感染が確認された人は増え続け、18日午後1時現在、兵庫県と大阪府で累計130人(成田空港の検疫で判明した4人を含む)になった。感染者が集中する複数の高校と接点が見当たらない人も相次いで判明し、社会活動への影響も広がりつつある>。

<ジェイアール西日本デイリーサービスネットは18日、JR三ノ宮駅構内のコンビニエンスストア「デイリーイン三ノ宮2号店」の50代の女性店員が感染したと発表した。17日午前、のどの痛みと頭痛があったが、マスク着用で接客していたという。接触したおそれのある従業員を自宅待機とし、8店舗を休業にした>。

マスク着用で接客していたというから、少なくとも通常のマスクが無力というのは正しそうだ。マスクを通り抜けて、空気中からウイルスを吸い込んだ可能性だけでなく、客から商品やお金を受け取るとき、そこに付着したウイルスが手を経由して、目や鼻から入ってきた可能性もありそうだ。

もちろん、通常のマスクでは防げないとしても、マスクをしないよりはしたほうがいいことは間違いないだろう。マスクだけでは安全ではないことと、「手」という経路に注意をうながすという意味で、bobbyさんの記事は有益だと思ったので、紹介してみた。


関連:
ウィキペディア - 2009年新型インフルエンザ
http://ja.wikipedia.org/wiki/2009%E5%B9%B4..

Update(2009.5.19):
「マスクは無力?」というタイトルは、「マスクをしても安全とは限らない」ことを強調し、「手」という経路に注意をうながす意図でつけたのだが、マスクの効力を過小評価しているようにも受け取れる。はてなブックマークで指摘くださった方に感謝。
本文中にも<マスクをしないよりはしたほうがいいことは間違いない>と書いていて、「マスクをしても無意味」だといった意図はないが、重要な話なので、念のためフォローしておきたい。
はてなブックマークのキーワード「新型インフルエンザ」で、関連記事がいろいろ読める。

Update2(2009.5.19):
はてなブックマークで、ytoさんより<文脈からコンビニ店員はかかったあとにマスクをしてたと思われるので、「通常のマスクが無力」という結論には違和感があります>という指摘。読み返すと、たしかにその通りだ。私が読み違いしていた。
タグ: