2011.05.11
割引券を配る店が増えてきた理由
最近、30円とか50円の割引券を配る店が増えてきた。店で何か買ったり、食事をしたときに、レシートといっしょに割引券をくれるというパターンである。

店頭での価格自体を値引きするのに比べて、割引券という手法は、店から見て大きなメリットがある。それは、サイフの中に入れてもらえるので、割引券自体が店の宣伝になり、「またその店に行こうかな」という気を起こさせるからだ。

私のサイフにも、よく行く店の割引券が何種類か入っている。しかし、最近はあちこちの店でやたらに割引券をくれるので、全部取っておいたら、サイフが割引券でパンパンになる。だから、よく行く店の割引券だけに絞って、あとは捨てている。

割引クーポンがついているフリーペーパーなどは、昔からある。しかしフリーペーパーだと、不特定多数の人に配られて、かつそのフリーペーパーの中で、他の店のクーポンと混じって入るだけなので、目立たない。さらに、フリーペーパーの場合は掲載料を取られる。これでは、そのフリーペーパーがよほど集客力を持っているのでない限り、店のメリットは少ない。

これに比べると、店頭で割引券を配るパターンは、費用対効果が大きいだろう。掲載料などもかからないし、実際にその店を利用してくれたお客さんに配るのだから、また来てくれる可能性が小さくない。

割引券と似たものに、ポイントカードやスタンプカードもある。ポイントカードはしばしば、名前や住所を書いて登録する必要があり、そのカードも一定の厚みがあるので、サイフの中でかさばる。よって、ポイントカードはいくらか敷居が高い。スタンプカードは、たいてい登録も不要で、スタンプが一定数貯まれば、何かと交換できるというものだ。

このようなポイントカードやスタンプカードと比べて、割引券は敷居が低い。ポイントカードのように登録しなくていいし、サイフの中でかさばらず、捨ててもいい気軽さがある。スタンプカードと比べても、スタンプが一定数貯まるまで待つ必要がなく、次の来店時にすぐ割引が受けられる。

このように、割引券の強みとは、ユーザの視点から見て「敷居が低い」ことにある。「要求が少ない」といってもいい。つまり、「気がラク」なのだ。

ユーザから見て受け入れやすいのだから、店から見ても、また来店してもらうという目標を達成しやすいだろう。これが、割引券を配る店が最近増えてきた理由だと思う。