2004.01.03
サイバネティクスと記号論理学 - ダグラス・エンゲルバート
年末に下北のDORAMAで入手した、Thierry Bardini『ブートストラップ - 人間の知的進化を目指して』(コンピュータ・エージ社)という本を読みはじめる。

副題は「ダグラス・エンゲルバート、あるいは知られざるコンピュータ研究の先駆者たち」。私はエンゲルバートについては、恥ずかしながら、マウスを発明したコンピュータの先駆者、くらいの知識しかなかった。

この本の冒頭には、エンゲルバートはウィーナーのサイバネティクスに影響を受けており、人間の「知的能力の補強」を目指していた、とある。またエンゲルバートは、単なる数値計算ではなく、コンピュータで記号論理学をやることに興味があった、と書いてある。

サイバネティクスと記号論理学、それは私自身が、コンピュータにのめり込む前に興味を持っていたものなのだ。

もちろん、エンゲルバートと自分を比べるなんておこがましい。しかし、かつてサイバネティクスと記号論理学に興味を持っていた自分が、いまはこんなふうにコンピュータとネットのジャンキーになっていることを考えると、エンゲルバートについて知っておきたいという気持ちが高まってきた。エンゲルバートがコンピュータに何を見出し、何を実現し、何を実現できなかったのか、理解したい。

またこの本には、ウィーナー、ローゼンブルート、ビゲローによる論文『行動、目的、目的論』(1943)といった、エンゲルバートに影響を与えた当時の人名や文献、エピソードなどが多数出てくる。

私はこういう本が読みたかったのだ。技術の詳細やテクニックも大切だが、こういう大きなヴィジョンのほうがもっと大切だし、何よりも面白い。

私はなんのためにZopeやWebをやっているのか、これで何ができるのか。私はほんとうに何がやりたいのか。この本を読みながら、あらためて考え直してみたい。

関連:
「人間機械論」ノーバート・ウィーナー
私がまだIT業界に入っていない1998年、HotwiredCAVEに書いたもの。
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