2005.09.05
階級社会の恐怖、お金の力学、教育格差などについての走り書き
livedoorニュース : 日本で確実に進行中 階級社会の恐怖
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__1374333/detail

<ひとたび貧乏になったら、その子供はもちろん子々孫々まで貧乏から抜け出せない――日本は今、そんな「階級社会」に突入しようとしている。本屋に行けば「不平等社会日本」「日本の不平等」「しのびよるネオ階級社会」といったタイトルの本が並んでいる。「昔から貧富の差はあったし、オレはそこそこの収入がある“中流”だから大丈夫」なんてタカをくくっていると大変なことになるぞ。
 前述の「しのびよるネオ階級社会」の著者で、階級社会が今も続く英国で長くジャーナリストをしていた作家の林信吾氏がこう言う。
「日本でも成果主義の導入で親世代の収入格差が拡大し、それが子供世代の教育格差につながり、その格差が世代を超えて固定化しつつある。言い換えれば、特定の階層が“おいしい仕事”を世襲的に独占する社会になりつつあるのです」
 かつて士農工商や自作農・小作農といった“階級”があったが、平等とされてきたサラリーマンの間で「ネオ階級社会」が形成されつつあるというのだ。
 確かにそれを裏付ける統計がある。昨年末に発表された経済開発協力機構のリポートによると、日本では1世帯あたりの平均所得(476万円)の半分以下しか稼げない貧困世帯が15%を超え、この10年で2倍近くに膨らんだという。日本の貧困率はメキシコ、アメリカ、トルコ、アイルランドに次いで5位。
 一方、国税庁の調査では年収2000万円以上のサラリーマンは10年間で2万人も増えた。所得格差は確実に広がっているのだ>。

ちょっと「煽り」入った書き方だと思うけど、いろいろ面白い問題提起になっていて、考えさせられるニュースだ。

資本主義であれば、お金が自己増殖する仕組みからいって、勝ち組がますます勝つという「お金の力学」から逃れられない。これによって、多かれ少なかれ階級化するのは避けられないと思う。

それがあまり極端になると、社会がうまく回らなくなる。流通すべきお金が局所化して価値の生産・流通が停滞したり、幸せでない人が増えて、社会不安が増大する。よって、法律や政治などの「社会工学」で、そうならないようにある程度はコントロールする必要がある。

私もおかしな平等主義は大嫌いだし、市場という「神の見えざる手」は素晴らしいと思うのだが、放っておいても最適な社会が立ち上がってくるほどの万能性は、いまの市場にはないと思っている。

PICSY(伝播投資貨幣)のようなお金ができれば、いまよりも「賢い(かしこい)」市場ができるかもしれないが、いまの市場は、そこまで賢くない。放っておくと階級化するのは、いまのお金の「原始性」が主な原因だと思う。

良くも悪くもそれが現実であり、「ゲームのルール」なので、「金持ち父さん」的なマネー・リテラシーは絶対に必要だろう。ただ、それだけに没入しては「マネー・ゲーマー」なので、社会に貢献できる自分なりの「価値」を発揮するために、それ以外のさまざまなスキルも必要になる。

その意味で冒頭のニュースは、階級の原因を教育に求めている点は、基本的に正しい着眼点だと思う。しかしこれが「学校教育」であるらしいところが、ちょっと古い気がする。

すでに、学歴は役に立たない。履歴書でなく、ほんとうに身についたスキル・リテラシーで勝負がつく。いまどき学歴で差別しているような会社があったら、滅びるのは時間の問題だろう。

学歴があればなんとかなると思っているのは、むしろ親のほうではないだろうか。学歴のために尻を叩いて勉強させるよりも、子供の好きなもの、興味やスキルを伸ばすスタイルのほうが、今後はうまくいくと思う。