2005.10.17
郵貯・簡保の340兆円は資金というより不良債権
日本国財政破綻Safety Netで紹介されていて知ったが、これはすごい論文だ。

河宮信郎・青木秀和 : 郵貯・簡保の自然縮小と国家財政基盤の崩壊
http://eritokyo.jp/independent/nagano-pref/kawamiya-aoki-col001.html

この論文自体はかなり長いので(私もざっとしか読んでいない)、上記のブログにトラックバックしている以下のブログを読むと、およその内容が手短にわかる。

国家破綻研究ブログ : 「郵貯・簡保の自然縮小と国家財政基盤の崩壊」について
http://gijutsu.exblog.jp/2327644

経済ニュースの森の奥 : 郵政民営化の“森の奥”
http://blog.goo.ne.jp/ririo2002/e/50074e599f15706408ee329e2127ead4

またこの論文の著者の1人、河宮信郎氏が総選挙直後に発表した以下の小論は、この論文の骨子ともいえるものになっている。これはわりと短くてわかりやすいので、すぐ読める。

河宮信郎 : 「郵政改革」幻想完勝の衝撃波-不可避となった財政破綻
http://list.jca.apc.org/public/aml/2005-September/003439.html

要点を私なりに大雑把に要約すると、以下のような感じ。

- これまで郵貯・簡保が日本国債を買い支えていた(日本にお金を貸していた)。
- その郵貯・簡保がなくなれば、日本国債の引き受け手がなくなる(日本はお金を借りられなくなる)。
- 政府・自治体などの債務者は、郵貯・簡保に借金を返すどころか、追加借入しなければならない状態。
- 郵貯・簡保の340兆円は「資金」ではなく「不良債権」である。

私もこれまでは、なんとなく「郵政が民営化されれば、340兆円が民間に流れる」というようなイメージを持っていた(だから、「340兆円はこう使え!」なんて書いていたのだ)。

しかしこれを読むと、340兆円という「お金」があるわけではなくて、国債という借金証書があるだけだ、ということがわかる。

その借金をしている日本国は、収入(税収)をほとんど年金の支払いだけで使ってしまっている。そのうえに、国を運営する通常のコストがかかるのだから、借金はすごい勢いで増える一方で、返せるわけがない。

こんなの、不良債権以外の何ものでもない。