2008.04.04
Amazon Mechanical Turkを使った写真タグづけサービス「TagCow」
先日、TechCrunchにこんな記事が載っていた。

TechCrunch - 画像認識技術の課題が解決された―金を払って人間にタグづけさせればよい!
http://jp.techcrunch.com/archives/image..

<ところがここに、突然にTagCowが登場した。ユーザーが写真をアップロードすると数分でタグ付けしてくれる。この技術は「魔法」のようだ。つまり何の説明もないのである。
 もし写真に山が写っていれば「山」とタグを付けてくれる。犬なら犬、黄色いカップなら黄色いカップだ。人間もタグづけできる。ある人の写真をアップロードして、名前を告げると、同じ人の他の写真をアップロードしても正しくタグをつけてくれる。このサービスはFlickrと連動していて、そこにアップロードしてある写真は自動的にタグ付けされる。
 写真サイトのZooomrのCEO、Thomas Hawkがこのサービスを試し、「これはじつに、じつにクールだ」と感心したものの 、いったいどうやっているのか不思議がっている。
 答は、人間がやってるのだ。私はTagCowのサイトが、タグ付けのプロセスについては慎重に口をつぐんでいて、「自動的」とか、その他コンピュータが使われていることを示唆するような言葉を一切使っていないことに注目している。Riya/LikeのファウンダーMunjal Shahもこれに同感で「Thomasが試しにアップロードした魔女の人形の写真に<魔女>とタグづけするなど、現在のコンピュータができることではない」と言っている>。

写真をアップロードすると自動的にタグづけしてくれるTagCowというサービスが、画像の自動認識などではなく、裏で人間がタグづけしているというのだ。



なんと、まるでAmazon Mechanical Turkじゃないかと思っていたら、本当にそうだったらしい。

TechCrunch - 仕事が欲しい? 写真タグ付けで時給120円稼ごう
http://jp.techcrunch.com/archives/20080402need-a-job-make-120hour-tagging-photos/

<TagCowではユーザーが写真を何千枚でも好きなだけアップロードすると、ものの数分以内にやたらとドンピシャ合ってる説明キーワードをつけて戻ってくるので後々の検索とブラウジングが容易。サービスはこんな素晴らしく機能しているのに、サイトにはその技術について説明がほとんどない。そこで私はきっと影で人間がやってんだろう、と吹聴して回った。
 で…やっぱりその通りだった。ある読者がアマゾンのMechanical Turkで同社のサービスを見たというタレコミを送ってくれたのだ。Mechanical Turkと言えば、コンピュータでは難し過ぎて手に負えない作業を人にやらせるウェブサービス。TagCowとは相性ピッタンコだ>。

まさに、<相性ピッタンコ>とはこのことだ。というよりも、TagCowはAmazon Mechanical Turkを前提に、自社のサービスを構想したかもしれない。

最近のAmazonはEC2などでも注目されているが、本のスキャン路上の自動撮影といった「人力」系サービスに着目するのも早かった。Amazon Mechanical Turkもその線上にある。

すべてを自動化する傾向の強いGoogleのビジネスモデルが「広告」志向になるのに対して、Amazonは物質や人間など多少泥臭い部分も引き受けながら、「ビジネスプラットフォーム」を志向しているように感じる。

Amazonはもはや「ネットの本屋」ではなく、GoogleやMicrosoftに対抗しうるIT・ネット企業であることは間違いない。

TagCowが伸びてくれば、そのベースになっているAmazon Mechanical Turkにも注目が集まるだろう。
世界じゅうの小さな労働力を集約するという、まさに21世紀のビジネスモデルだ。

関連エントリ:
Amazon Mechanical Turk
http://mojix.org/2005/11/05/112320