2008.05.03
格差は問題ではなく、日本をどうやって成長軌道に乗せるかが問題だ
仮に格差をなくしたとして、何がよくなるのか。

格差をなくした結果、優秀な企業と優秀な人材が国外流出してしまい、日本が衰退していくのでは何にもならない。

最低レベルの生活を保障するセーフティネットは必要だと思うし、その仕組みや水準の議論は意味があると思うが、「格差」が問題になる意味がわからない。

もし正社員と非正社員を不当なほど差別する会社があるならば、転職してもっとマシな会社に行ったり、自分で起業すればいいだけの話だ。どこにも就職できないとすれば、自分のスキル・商品価値という現実に対して、希望が高すぎるのだろう。労働環境や待遇に文句を言っている割には、転職や起業する度胸はないという人は、モテない人間が、モテないことを他人のせいにしているようなものだ。

会社の側は、正社員と非正社員を不当に差別したり、労働環境が劣悪であれば、人材が流出し、悪評も高まる。そういう会社はどのみち淘汰されていき、けっきょく、働き手を正当に遇するまともな会社だけが残る。それが市場というものだ。

問題は格差ではなく、いったん正社員を採ったら解雇しにくいという規制のほうだろう。会社の立場で見れば、解雇しにくいから正社員を採用しないのだし、派遣で済まそうとする。

解雇を容易にすれば逆に採用も増えて、人材の流動性が高まる。いまは人材の流動性が低いので、会社と人材がミスマッチなまま、少なくとも一方がガマンしているというケースが多いはずだ。

なんでも規制でコントロールしようとするから、あちこち官製不況になる。もっと自由にさせて、市場の力を使うべきだ。

しかしこれは政治家や役人が悪い以上に、元はといえば、なんでも「お上」頼みの国民性が悪いのだろう。何かにつけて政治家や役人に文句ばかり言っている人は、裏返せば、それだけ「お上」に頼り切っており、自分で変えていくという気概、独立心がないのだ。

政治家や役人に文句があるなら、自分で会社やNPOでも立ち上げて、自分で日本を変えていけばいい。自分でやるのは大変だが、他人のせいにして文句ばかり言っているよりは、はるかに楽しいし、やりがいがあるはずだ。

そういう独立心が日本に根付いてくれば、日本はまた成長軌道に乗るだろう。若い世代にはすでにそのきざしが見える。