2008.05.19
さまざまな認知バイアス
Wikipedia - List of cognitive biases
http://en.wikipedia.org/wiki/List_of_cognitive_biases

さまざまな「認知バイアスCognitive bias)」が、壮観ともいえるほど大量に集められており(たぶん100個近く)、以下の4カテゴリに分けられている(カッコ内は私がつけた訳語)。

1 Decision-making and behavioral biases (意思決定と行動に関するバイアス)
2 Biases in probability and belief (確率・信念に関するバイアス)
3 Social biases (社会的バイアス)
4 Memory errors (記憶に関する誤り)

以下、具体例をいくつか拾い出してみます(説明は、上記ページの解説文を私が要約したもの)。

Decision-making and behavioral biases (意思決定と行動に関するバイアス):

Bandwagon effectバンドワゴン効果
他の多くの人の行動・考えをマネする傾向。

Confirmation bias確証バイアス
自分の先入観を強化するように情報を探したり、情報を解釈する傾向。

Endowment effect (賦与効果)
何かを失うとき、それを得るときに払う分よりも多くを求める傾向。言い換えれば、持っていなかったときよりも、手に入れてからのほうが、それを高く評価する傾向。

Information bias (情報バイアス)
それが行動に影響を与えないのに、情報を探してしまう傾向。

Planning fallacy (計画の誤謬)
タスクを完了するまでの時間を過少に見積もる傾向。

Biases in probability and belief (確率・信念に関するバイアス):

Gambler's fallacy (ギャンブラーの誤謬)
独立したランダムな出来事が、それ以前のランダムな出来事に影響されると考える傾向。例えば、コイン投げで「5回続けて表が出たので、6回目は裏のほうが出そうだ」といったもの。

Hindsight bias (あと知恵バイアス)
過去の事象を全て予測可能であったかのように見る傾向。
(注:この訳語・説明は「認知バイアス」のページより)

Rosy retrospection (バラ色の回顧)
過去の出来事を、それが起きた当時に実際評価したよりも、肯定的に評価する傾向。

Social biases (社会的バイアス):

Actor-observer bias (行動者・観察者バイアス)
他人の行動を説明する際、その人の性格の影響を過大に考え、そのときの状況の影響を過少に考える傾向。この傾向は、自分自身に関しては反対の傾向をともなう。自分の場合はそのときの状況の影響を過大に考え、自分自身の性格の影響を過少に考える。

Halo effectハロー効果
ある対象を評価をする時に、顕著な特徴に引きずられて他の特徴についての評価が歪められる現象の事。
(注:この説明は「ハロー効果」のページより)

Herd instinct (群居本能)
安全志向・衝突回避のために、多数派の意見を採用し、その行動にしたがう傾向。

Memory errors (記憶に関する誤り):

Self-serving bias (自己奉仕バイアス)
望ましい結果が出た場合は自分に原因があると考え、望ましくない結果が出た場合は自分に原因がないと考える。

以上、「誤謬」のエントリと同様、どれも「あるある~」と感じるものばかりではないだろうか。ここに紹介したのはほんの一部で、他にも面白いものが山ほどあるので、詳しくは元ページを見てほしい。

人間の認識の「クセ」をここまで列挙されると、まるでマンガみたいで面白い。

関連エントリ:
ウィキペディアの「誤謬」(ごびゅう)の解説がすばらしい
http://mojix.org/2008/05/08/fallacy
経済に関して一般人が陥りやすい4つのバイアス
http://mojix.org/2008/03/25/caplan_four_biases