2008.08.30
減税は「バラマキ」なのか?
ロイター - 減税含んだ総合対策のばらまき色否めず、政策効果に疑問の声
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-33516020080830

<対策に伴う2008年度補正予算では赤字国債発行を回避しかろうじて財政規律が守られたが、今後検討される定額減税の規模や仕組み次第では、税収の減額補正に伴う第2次補正予算で赤字国債発行は必至で、緊急総合対策の「バラマキ」色は否めない>。

この記事にあるように、減税が「バラマキ」の文脈で語られるのをしばしば見かける。

しかし、減税は「バラマキ」なのだろうか?

そもそも日本の税金というものは、大雑把にいえば、まず企業が利益の40%程度を払い、その後、個人が収入に応じて払ったものだ。そうして集めたお金を、いろいろなところに分配している。

「バラマキ」というのは、この「分配」を、景気浮揚を目的としておこなうことだろう。その意味では、目的が「景気浮揚」であった場合にはつねに「バラマキ」と呼ばれるならば、減税も「バラマキ」と言えなくもない。

しかし、そもそも税金を使うこと自体が「分配」である以上、それはすべて「バラマキ」なのだ。問題は「バラマキ」かどうかではなく、「バラマキ」が経済成長にとって効果的かどうかだ。

地方にカネを回して活性化するためだけに、無意味なハコモノを作らせたりするのは、いかにも「バラマキ」だ。なぜならば、そんなことをしても地方の「経済成長力」はつかず、むしろその「バラマキ」に依存する体質を作ってしまうからだ。

しかし「減税」は、もともと税金を払っている会社や人にお金を返すことだ。税金を払える会社や人は、もともと稼ぐ力があるのだ。稼ぐ力がある会社や人に、より多くのお金を回すことは、投資の視点で見れば、完全に正しい。

もちろん、税金による分配は「投資」の側面だけではなく、市場の機能でカバーできない部分を補ったり、社会的な公正を維持する役割もある。しかし「経済成長」のためという側面を見れば、それはまさに「投資」だから、成長力のあるところにお金を回すのは当然だ。

少し前、日本も国家ファンドをやろうという議論が一部で出ていた。国民から強制的に税金を集めておいて、それをファンドとして運用しようというわけだ。そんなふざけた話があるだろうか。投資というのは、自分でリスクを負えるかどうか判断して、自分の責任でおこなうものだ。なぜ、運用で大損するかもしれないファンドに、「強制的に出資」させられるのか。

しかし実のところ、税金というもの自体が、この「国家ファンド」みたいなものなのだ。まず強制的に税金を払わされる。そして、国民はその「運用」には口を出せず、利権とつながったわけのわからない無駄使いがおこなわれて、経済成長に寄与しない浪費がつづく。

このように考えると、減税というのは、最初の「強制的に税金を払わされる」部分を減らすものなのだ。経済成長に寄与しない浪費がおこなわれるくらいなら、減税のほうがよっぽどマシだろう。というよりも、「減税よりも効果的な税金の使い方」があるのなら、誰か教えてほしい。