2008.09.30
博士たちのワーキングプア
A Prisoner in the Cave - 博士たちのワーキングプア
http://d.hatena.ne.jp/eirene/20080928/1222530439

<テレビ東京のドキュメンタリー「博士たちのワーキングプア~ひとコマ2万5千円~」をさきほど視聴した。大学院博士課程修了後に、大学非常勤講師で働きながら、10万円台の月収で研究生活を送る二人(一人は中米ニカラグアの歴史を研究する男性、一人はイタリア語を研究する女性)が取材に応じていた>。

<冒頭で『高学歴ワーキングプア』(asin:4334034233)の著者・水月昭道さんがインタビューに答えていたので、制作サイドはこの本を読み、二人に密着取材をしたようだ。学生から見れば、専任大学教員も(専任校を持たない)非常勤教員も同じ「先生」だが、両者の間には身分格差があることが、大学業界に属していない人にはあまり知られていない。そのあたりに番組はスポットライトを当てていた>。

ここで紹介されている番組を私も見てみた。

博士たちのワーキングプア(1/3)
http://jp.youtube.com/watch?v=aTnehHReJSY



これは素晴らしい番組だ。全ての日本人が見るべきじゃないだろうか。

非常勤講師の「ひとコマ2万5千円」って、1コマ(90分)あたりじゃなくて、その1か月あたりの金額なのだ。

教材作りや準備の時間、大学への移動時間などもあるので、8コマもやればいっぱいのようだ。しかし8コマやっても20万円にしかならない。そのうえ交通費もなし。収入的には、完全にフリーター並みか、ヘタするとそれ以下だろう。

それでも、この「コマ」は奪い合いになるほどの人気だという。常勤講師はあまりにも狭き門で、採用はほとんど「不可能」に近いからだ。

この番組に出てくる京都の男性の場合、前期は8コマあった授業が後期は4コマに減ってしまい、「生きていけるのか?」と自嘲気味に語っていた。さらに、その4コマのうち3コマが東京の大学で、毎週遠距離バスで移動する。時間も費用もかかり、体力的にもキツイ。

この番組を見ると、「高学歴ワーキングプア」という問題をリアルなものとして実感できる。なぜこうなってしまったのか?という犯人探しも必要だと思うが、まずはともかく、現状をどうにかしなければいけない、という気持ちにさせられる。