2008.10.01
「高学歴ワーキングプア」問題を解く方法を考えてみた
「高学歴ワーキングプア」問題を解く方法を、私なりに3つ考えてみた。

(1) 就職サポート

高学歴ワーキングプアの人たちの「人材バンク」みたいなものを作って、自分はどんな才能・スキル・専門性があるのかを登録してもらう。

いまはSNSなどのIT技術が発展しており、昔に比べるとマッチングの効率は上がっているはず。新卒採用にこだわらない企業も無数にあるはずなので、マッチングの効率を上げるだけでもそれなりに事態は改善しそうに思う。

(2) 起業サポート

高学歴ワーキングプアの人たちに起業させ、自ら雇用を生み出してもらう仕組みを作る。

大学院に進むような人は基本的に頭が良く、根気もある人たちだと思うので、その才能をお金に変える(「マネタイズ」する)ような流れを作る。

専門家・経験者からのノウハウ提供、ベンチャーファンドを作って資金提供など。

(3) 転身サポート

自分の研究はひとまず捨ててもいいという人を対象に、ITなどビジネス需要の高い分野への転身をサポートする。ITならば、未経験でも採用する企業が本当にたくさんある。

以上3つ、とりあえず思いつきのアウトラインだけで、「そんなことは誰でも考えるよ」という自明なレベルだと思うが、それでも書かないよりマシかと思って書いてみた。

個人的には、(1)はわりと誰でも考えそうな気がするし、ほっといても進んでいく気がするが、(2)や(3)の方向がいっそう面白い気がする。

(2)の起業は、もしこれを読んでいる高学歴ワーキングプアの人がいたら、ほんとうに検討してほしい。私は、「就職よりも起業のほうがカンタンだ」と本気で思っている。求人倍率100倍とかの採用に通るより、起業のほうがよっぽどラクだ。

起業には何の資格も、試験もいらない。必要なのは、自力で運命を切りひらくという覚悟だけだ。そしてとにかく起業してしまえば、ものすごく「勉強」になるのだ。「とりあえず起業してしまう」のをオススメする。

(3)も面白い。ITは何にでも関係してくるので、とにかくいったんITの世界に入れば、あとで自分の専門性・スキルとITを結合させるという道がひらける。

私は学部卒で、大学院には行っていないが、高学歴ワーキングプアの人たちはどこか他人とは思えないのだ。

私は工学部だったが、気質や興味としてはむしろ人文系・芸術系だった(そのことは、大学に入ってからわかった)。人文系・芸術系はいちばん「食えない」方向であって、卒業後もしばらくはフリーターみたいな立場で、ずっとその方向を「自習」していた感じだ。29歳でITに転身するまでは、ビジネスなんてこれっぽっちも興味がなかった。

だから私は、大学院で「食えない」研究をして30歳くらいまで過ごしているような人に、共感できる。そういう人の中には、自分がまったく想像できなかったようなかたちで、ITやビジネスの世界で才能を開花させ、成果を出せる人がたくさんいるはずなのだ。


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