2008.11.07
コモンとオバマ
ヒップホップ好きなら誰でも知っている、シカゴ出身のコモンというラッパーがいる。

Common - I Used To Love H.E.R.
http://www.youtube.com/watch?v=C99iG4HoO1c



私がコモンを知ったのは、この「I Used To Love H.E.R.」が入っている2作目『Resurrection』(1994)だった(これはかなりの名盤で、私のオールタイムベストの一枚)(昔書いた紹介文)。

昨年くらいにオバマの名前が浮上して、うまいと評判のその演説をYouTubeかどこかで聴いたとき、私はすぐにコモンを連想した。オバマのしゃべりは音楽的で、ラップに通じるものがある。特に、発音が明確でキレのある感じが、コモンに似ていると思った。

ともにシカゴ育ちの黒人であり(厳密にはオバマはハーフらしいが)、しゃべりも似ていて、顔までちょっと似ている。

そして、ミュージシャンたちが音楽にのせてオバマを支援した、あの「Yes We Can」に、やはりコモンも出ていた。

Yes We Can - Barack Obama Music Video
http://jp.youtube.com/watch?v=jjXyqcx-mYY


左がコモン(最近のコモンはちょっとオッサンくさくなった?)

この「Yes We Can」では、オバマのしゃべりがまったく違和感なく、音楽に溶け込んでいる。このクリップは、オバマの演説がいかにラップに近く、音楽的であるかを証明していると思う。

先日オバマが勝利して、私はあらためてコモンのことを思い出し、YouTubeを調べてみた。するとやはり、関連動画がいろいろ出てきた。

Vote Hope: Common for Barack Obama
http://jp.youtube.com/watch?v=U1dc6KcGeQw

昨年末に作られたらしい、コモンによるオバマ応援の動画。他にも、コモンがインタビューでオバマを語っているものなどいろいろ見つかる。

Barack Obama Party hosted by Common in Chicago
http://jp.youtube.com/watch?v=wajlWTLdV5o



これはオバマ勝利後の最新動画。オバマ勝利を祝って、コモンが地元シカゴのHard Rock Cafeでパーティを開いたらしい。さすがにコモンのMCはカッコよくて、オバマも顔負けだ。

Common "Changes" (Ft. Mr. President Barack Obama)
http://jp.youtube.com/watch?v=a9kzpg12DMI

オバマの演説をフィーチャーした、コモンの「Changes」という曲。新曲だろうか?

Yes We Can」のミュージック・クリップに象徴されるように、コモンのようなミュージシャンや、音楽が好きな若者たちの支持を集められたというのも、オバマの勝因のひとつだったと思う。その点では、今回のオバマの勝ち方は、かつてのブレアを思わせる。

第三の道」として知られる「New Labour」路線を掲げたトニー・ブレアは、Oasisなど人気ミュージシャンも含む若者たちの強い支持を集めて1997年のイギリス総選挙で圧勝し、英国首相になった。当時43歳だったブレアの人気は政治家というワクを超えていて、「カルチャー的なヒーロー」だった。

今回のオバマも、まさに「カルチャー的なヒーロー」と言えるだろう。その人気ぶり、引き起こしている熱狂の質が、まるでミュージシャンのようなのだ。