2008.11.20
バルセロナのデザイン会社「COSMIC」の作品集 『WE WORK HERE』
渋谷ブックファーストでデザイン本の特売をやっていたので、いろいろ手にとって見てみたら、『WE WORK HERE』という面白そうな本を見つけた。

大きな包丁で魚を切っている写真が表紙で、タイトルが『WE WORK HERE』だから、いろいろな職業の人が働く現場の写真集かな?と思ったのだが、ぜんぜん違った。スペインのバルセロナにある「COSMIC」というデザイン会社の作品集らしい。

COSMIC
http://www.cosmic.es/

『WE WORK HERE』(スペイン語のタイトルは『TRABAJAMOS AQUÍ』)はクッション性のあるハードカバーがついていて、オールカラーで約250ページの立派な本。大半が写真で、テキストはスペイン語と英語の2か国語表記になっている。2004年に出たものらしい。

WE WORK HERE - The visual language of cosmic, barcelona
http://www.cosmic.es/book_01_B.html



本の導入部分に、「UN PROCESO EN TRES FASES / A PROCESS IN THREE PHASES」(3段階の過程)と題したテキストがある。自分たちは仕事をどう進めるかを説明したもので、食材を加工し、料理を作る過程になぞらえて、以下の3段階だと述べられている。

1. 情報(顧客の現状や課題、達成したい目的など)を断片に分ける
2. そこから選んで、並べかえる
3. 「おいしい」提案をつくる

これらの各段階の説明に、食材やケーキなどさまざまな写真が添えられており、とても楽しい。本の表紙にある魚を切る写真は、これの1段階目をあらわすものだったのだ。

この3段階は、システム開発における分析・設計・実装というプロセスにも似たところがあると思った。デザインのようなクリエイティブな作業でも、こういうふうに段階を踏むわけだ。インスピレーションに頼っていきなり作ろうとするのではなく、ちゃんと下準備やプロセスを経るべきという話は、『アイデアの作り方』にも書いてあった。

メインの作品集のパートでは、CI(会社のロゴなど)やポスター、カレンダー、レターヘッド、本、雑誌、CD、食器、Webサイトなど、幅広い作例が紹介されている。これらについては、COSMICのサイトでも見られるようだ。

私は「スペインのデザイン」というのはあまり見たことがなかったのだが、COSMICの作風はとても気に入った。オランダなどともまた違ったラテン的な明るさがあって、適度に「ゆるい」感じがいい。
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