2009.04.08
山本理顕設計工場「ナミックステクノコア」
建築雑誌を立ち読みしていて、山本理顕設計工場が設計した「ナミックステクノコア」という面白い建築を知った。

ナミックス - 新・研究所(ナミックステクノコア) 10月竣工
http://www.namics.co.jp/n2.html



ナミックスエレクトロケミカル材料の開発、製造、販売をおこなう新潟の会社で、この「ナミックステクノコア」は2008年10月に完成した、ナミックスの研究開発施設とのこと。

工事監理を補助した建築家、堀川猛氏のサイトに美しい写真がある。

堀川猛建築設計事務所 - Works_ナミックステクノコア
http://www.takeshihorikawa.com/works_nam.html



山本理顕設計工場のスタッフが、このプロジェクトの進行を記録しつづけた、すばらしいブログがある。

(仮称)ナミックス・テクノコア ナミックス+山本理顕設計工場
http://n-project.seesaa.net/

ナミックステクノコアの外観的な特徴は、なんといっても、モコモコした角丸テーブルみたいなやつが乗っているところだろう。これについて、次のような解説がある。

<屋根の上に、全く違うシステムの構造体を乗せる。半径が最大で7メートルある逆円錐状のコマのような構造体を平面的に3つ集めることで、お互いにもたれ合うシステムである。半径の違うコマをいくつか繋げてできたテーブルのような構造体を2層積み、上1層にオフィスをつくる。
コマの支点部をピン接合とすることで水平力をキャンセルし、ピン先端部の円形断面をφ230,φ250mmにすることができる。外周に柱の全くない構造体が宙に浮いているように見える>。



「逆円錐状のコマ」を組み合わせて、モコモコした角丸テーブルみたいなのを作り、それが2層になっていて、その層のあいだがガラスばりのオフィスになっているようだ。ピンの先端は直径20数センチほどしかなく、外周はすべてこのピンだけで支えているので、まさに浮いているように見えるわけだ。このモコモコしたテーブルのかたちは、ちょっと日本列島に似ている。

このブログは、vol.1「企業のカタチ」からvol.77「竣工式典」にいたるまで、建物内部や現場の写真を多数含んだ、すばらしい内容になっている。いまはこのように、写真つきのブログで進行状況を記録・発信していけば、施主をはじめ関係者全員がその進行を見られるし、私のようにあとから見つけた人間が読むこともできるわけだ。建築の場合、しょっちゅう現場に行くことが難しかったり、行ったとしてもジャマになったりするので、こういうブログが果たす役割は大きそうだ。

このナミックステクノコアのようないい建築を作れば、建築雑誌に載ったりして、ナミックスという会社の広報にもなるし、そこで働く社員のモチベーションも上がり、人材を引きつける効果もある。この建物を見たいという訪問者・見学者も、きっと引きも切らない状態だろうから、いわば「観光資源」でもあるわけで、これが立地する新潟市にもプラスの効果がある。「建築に何ができるのか」、その威力にあらためて気づかされる思いだ。


関連:
新潟日報 - ナミックス、東港に新研究所完工
http://www.job-nippo.com/news/details.php?k=2295
SOD-Design 高橋 智志(タカハシ サトシ)のblog - ナミックステクノコアさん、見学させていただきました!
http://sod.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/post-df5b.html
和田正則の建築LOGBOOK - ナミックステクノコア/山本理顕
http://mawada.exblog.jp/9150868/
NIT 新潟工科専門学校 ブログ - ナミックステクノコア見学
http://www.nit-blog.net/2009/01/post_42.html