2011.04.29
副詞の「dead」
英語の「dead」には、「すごく」「めちゃめちゃ」といった意味で、副詞として使う用法がある。「dead easy」や「dead simple」など、わりと見かける。

goo辞書の「dead」を見てみると、副詞のところに「dead right(全く正しい)」、「dead serious(大まじめで)」、「be dead against ...(…に絶対反対である)」といった例がある。

日本語でも、まさに「死ぬほどいい」といった言い方がある。このときの「死ぬほど」には、文字通りの「死ぬ」という意味はもはやまったくない。「死」というビッグワードが日常的に使い古されて、ただの強調語になってしまっている。

この「dead」の用法を詳しく解説している、英語の専門家のブログがあった。

澄みわたる英語 - dead
http://irleigo.blog105.fc2.com/blog-entry-265.html

<実は dead には「死んでいる」という形容詞の使い方に加えて、副詞の使い方があります。そして副詞の場合には、固有の意味合いから少し外れて、意味を強める使い方をすることがとても多いです。これは日本語も同じです>。

<たとえば「メチャメチャ」ということばがあります。「メチャメチャ」というのは、本来は決していい意味ではないはずですよね。ですが、「メチャメチャ楽しい」とか」「メチャメチャ面白い」とか「メチャメチャ素晴らしい」なんて使い方もできます。副詞として「メチャメチャ」という言葉を使うと、固有の意味合いから少し外れて、単純に意味を強める使い方になっていくわけです>。

日本語の「メチャメチャ」と同様である、という説明はわかりやすい。

実例としては、次のようなものが挙げられている。

<My parents are dead against the marriage. の場合には、dead は against the marriage を修飾している副詞として機能しています。つまり、 against the marriage の意味を強める使い方をしているということです。そう考えると、「うちの両親はその結婚に徹底的に反対している」というような意味になります>。

<同様にして、dead right といえば「完全に正しい」ですし、dead straight といえば「完全にまっすぐ」ですし、dead on time といえば「ピッタリ時間通りに」です>。

日本語の「メチャメチャ」や「死ぬほど」と同様、口語的な言い回しのようなので、積極的に使うというよりは、意味を知っておくべき用法だろう。

私が好きなThe B-52'sというアメリカのバンドに、「Deadbeat Club」という曲がある(1989年のアルバム『Cosmic Thing』に収録。これは超名盤)。

YouTube - B52's - Deadbeat Club (Original Music Video)
http://www.youtube.com/watch?v=5KyhesAa-DA



「dead beat」は「疲れきった」「打ちのめされた」といった意味の慣用表現で、この「deadbeat」というワンワードの綴りもよくあるようだ。
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