2011.06.30
サッカーボール避け転倒死亡 蹴った少年の親に賠償命令
asahi.com - サッカーボール避け転倒死亡 蹴った少年の親に賠償命令(2011年6月28日12時9分)
http://www.asahi.com/national/update/0628/OSK201106280038.html

<校庭から蹴り出されたサッカーボールを避けようとして転倒した男性(死亡当時87)のバイク事故をめぐり、ボールを蹴った当時小学5年の少年(19)に過失責任があるかが問われた訴訟の判決が大阪地裁であった。田中敦裁判長は「ボールが道路に出て事故が起こる危険性を予想できた」として過失を認定。少年の両親に対し、男性の遺族ら5人へ計約1500万円を支払うよう命じた>。

<判決によると、少年は2004年2月、愛媛県内の公立小学校の校庭でサッカーゴールに向けてフリーキックの練習中、蹴ったボールが門扉を越えて道路へ転がり出た。バイクの男性がボールを避けようとして転び、足を骨折。その後に認知症の症状が出るようになり、翌年7月に食べ物が誤って気管に入ることなどで起きる誤嚥(ごえん)性肺炎で死亡した>。

<少年側は「ボールをゴールに向けて普通に蹴っただけで、違法性はない」と主張したが、27日付の判決は「蹴り方によっては道路に出ることを予測できた」と指摘。「少年は未成年で法的な責任への認識はなく、両親に賠償責任がある」と判断した。そのうえでバイクの転倒と死亡との因果関係について「入院などで生活が一変した」と認定。一方で、脳の持病の影響もあったとして、請求額の約5千万円に対して賠償額は約1500万円と算出した。(岡本玄)>

この判決は、いくらなんでもおかしいと思う。

記事のタイトルには「サッカーボール避け転倒死亡」とあるが、中身を読めばわかるように、サッカーボールを避けて転倒したときに死亡したわけでもない。

その転倒と認知症の因果関係も、必然と言えるのだろうか。なにしろ80歳を超えているのだ。直接の死因になったのも、食べ物が誤って気管に入ったからだというから、もはやサッカーボールとは何の関係もない。

亡くなった老人の家族が悔しいのはわかるが、サッカーボールを蹴った少年の家族に5千万円請求するというのは、常人の理解を超えていると思う。これでは同情の念も消えてしまう。

それでも、勝手な訴訟を起こす人はよくいるので、それ自体は問題ない。しかしそれに対して、司法がこんな判決を下してしまうというのは大問題だろう。

こういう問題ある判決は、司法システムへの信頼を失わせる。司法とは「審判(ジャッジ)」である。ジャッジが信頼できないのでは、まともにやろうという気が失せてしまう。


関連エントリ:
こんにゃくゼリー窒息死訴訟、両親の訴えを棄却 「消費者真理教」に乗らないフェアな判断
http://mojix.org/2010/11/19/konnyaku-soshou