2012.11.17
衆議院が解散 総選挙は12月4日公示、16日投開票
野田首相が14日に明言した通り、16日午後、衆議院が解散した。

毎日新聞 - 衆院:解散 12月4日公示・16日投開票で選挙戦に(2012年11月16日 15時52分(最終更新 11月16日 16時26分))
http://mainichi.jp/select/news/20121116k0000e010208000c.html


衆院が解散し、閣僚らがバンザイする中で厳しい表情をする野田佳彦首相(中央)=国会内で2012年11月16日午後3時50分、木葉健二撮影

<野田佳彦首相は16日午後、憲法7条の規定に基づき衆院を解散した。衆院選は12月4日公示・16日投開票の日程で行われる。衆院解散は自民党の麻生太郎首相による09年7月21日以来3年4カ月ぶり。同年8月の衆院選で308議席を獲得し大勝した民主党は「2大政党」による初の政権交代を実現したが、離党者の続出で過半数の240議席を事実上割り込み、「第三極」を目指す中小政党が乱立した状況で衆院解散を迎えた。民主党政権の3年間とともに、政党のあり方も問われる衆院選となる>。

<政府は16日午前の閣議で衆院解散を決定。全閣僚が閣議決定書に署名した。同日午後の衆院本会議で解散詔書が読み上げられた。その後の臨時閣議で衆院選の日程を正式決定。首相は同日夜、首相官邸で記者会見し、民主党政権の実績を訴える一方、09年衆院選マニフェストの主要政策の一部を実現できなかった反省を表明し、衆院選で政権継続を目指す意気込みを示す>。

<首相は同日朝、記者団の問いかけに「国民の皆さまの信をしっかり問います」と答えた。自民党の安倍晋三総裁は党役員会で「歴史的な戦いを勝ち抜きたい」と訴えた>。

<民主党離党の動きは16日も続き、初鹿明博衆院議員(東京16区)が離党届を提出。福田衣里子(長崎2区)、橋本勉(比例東海)両衆院議員も離党する意向を固めた。玄葉光一郎外相は記者会見で「首相は党より国家、政局より大局を考えて判断される。党内の反対が多い中、『ばか正直解散』と言えるのではないか」と首相の解散判断を擁護した>。

衆議院が解散すると、「ナントカ解散」と通称がつく(ウィキペディア「衆議院解散」には、これまでの解散の一覧があり、通称も載っている)。玄葉光一郎外相が『ばか正直解散』と言っているのは、この通称をつける試みだ。野田首相の「ばか正直」ぶりを踏まえたもので、私もなかなかいいと思う。

<変革を求める国民の期待を担って登場した民主党政権は09年9月の発足直後、毎日新聞の全国世論調査で内閣支持率77%を記録。しかし、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題で迷走した鳩山由紀夫首相は翌年6月に退陣した。後を継いだ菅直人首相は、10年7月の参院選で唐突に消費増税方針を打ち出して惨敗し、小沢一郎元代表(現「国民の生活が第一」代表)との党内対立も激化して昨年8月、東日本大震災の復興半ばで退陣に追い込まれた>。

<民主党政権3人目の野田首相は「決められる政治」を掲げ、消費増税を柱とする税と社会保障の一体改革関連法を今年8月に成立させた。その過程で小沢氏らが集団離党し、消費増税の代償として自公両党に「近いうち解散」を約束。橋下徹大阪市長率いる「日本維新の会」など地域政党から第三極を目指す新党や、小沢氏らの「反増税」新党が相次いで誕生し、14政党が乱立する中で衆院解散・総選挙を迎えることになった。【田中成之】>

これまでの経緯もまとめられており、私が目にした解散関連の記事では、この毎日の記事がいちばん充実しているように思った。

朝日新聞デジタル - 衆院が解散、総選挙へ 12月4日公示、16日投開票(2012年11月16日15時54分)
http://www.asahi.com/politics/update2/1116/TKY201211160521.html


写真:衆議院が解散され、万歳三唱する議員たち=16日午後3時50分、国会内、西畑志朗撮影

<衆院は16日午後の本会議で解散された。総選挙は12月4日公示、同16日投開票の日程で実施される。民主党政権での解散は政権交代を果たした2009年9月以来初めて。同党は3年間の政権運営で世論の逆風にさらされており、政権を維持できるかどうかが最大の焦点となる>。

<野田佳彦首相は16日午前の閣議で解散を宣言し、全閣僚が解散書類に署名した。午後3時50分に始まった衆院本会議では、横路孝弘衆院議長が解散詔書を朗読して解散を宣言した>。

<自民党や公明党は民主党政権の失政を追及し、政権奪還へ向けて勢いづく。また、国民の生活が第一やみんなの党、日本維新の会など第三極は、消費増税法を成立させた民自公3党合意といった既成政党が主導する政治の打破を訴える>。

<選挙戦では、消費増税の是非や原発政策などが問われそうだ>。

朝日は、「消費増税の是非」や「原発政策」が総選挙の焦点になる、という書き方をしている。いっぽう日経では、総選挙の争点をこう書いている。

日本経済新聞 - 衆院解散、12月4日公示 16日投開票へ(2012/11/16 15:51)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS16027_W2A111C1000000/

<政策では経済再生・成長戦略やエネルギー、領土・領海を巡る問題など外交・安全保障が争点になる見通し。首相は環太平洋経済連携協定(TPP)の推進をマニフェスト(政権公約)に明記して争点化を図る>。

こちらは、経済・エネルギー・外交だと書いている。朝日のほうが生活者目線で、日経はビジネス目線だと言えるだろう。媒体のカラーを反映している。

ちなみに、衆議院が解散すると、議員がみなバンザイする。これはなぜなのか。ウィキペディアの「衆議院解散」にはこうある。

<なお、現在も続いている衆議院解散時に本会議場で万歳を行う慣習は、政治学者の前田英昭(元・駒沢大学教授で法学博士、専門は政治制度論)によると速記録や新聞などから1897年(明治30年)12月25日の第11回帝国議会の解散から確認できるとされる。ただ、この習慣が出来た理由は未だに不明である。万歳の由来について専門家の間にも、やけっぱち説、内閣への降伏を表しているとする説、ときの声であるとする説、天皇陛下万歳の意味であるとする説、士気を鼓舞するためとみる説など諸説が唱えられている。中曽根康弘によると、「大日本帝国憲法下では、『解散の詔書』が包まれる紫の袱紗(ふくさ)に象徴される天皇陛下万歳というのが始まり」とし、「職を失った者が総選挙という戦場に万歳・突撃するという気持ちだ。」としている。他の説として英国議会で「『国王陛下万歳』と唱和するのに倣って、天皇の長寿を祈念した」とか「戦前は超然内閣が政党に対抗して解散することが多く、議員が自暴自棄になった」などがある。衆議院事務局は「慣例」としか回答していない>。

要するに、100年以上つづく慣例であって、理由は諸説あるらしい。衆議院解散というのは、衆議院議員が失職するわけだから、個人的には「やけっぱち説」がいちばん実感に近い気がする。「はい、オマエら全員クビ!」「よっしゃ~!」みたいな感じか(笑)。


関連:
ウィキペディア - 衆議院解散
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A1%86..

関連エントリ:
野田首相が「16日に解散」と明言、総選挙は12月16日に 野田氏は最高のタイミングで解散カードを切った
http://mojix.org/2012/11/15/noda-kaisan