2012.11.15
野田首相が「16日に解散」と明言、総選挙は12月16日に 野田氏は最高のタイミングで解散カードを切った
朝日新聞デジタル - 総選挙12月4日公示、16日投開票 野田政権決定(2012年11月14日19時26分)
http://www.asahi.com/politics/update2/1114/TKY201211140757.html

<野田佳彦首相は14日、衆院を16日に解散し、総選挙を実施することを決めた。14日夜、首相官邸で開かれた政府・民主三役会議で、選挙日程を12月4日公示、同16日投開票とすることも決定。衆院選は2009年8月以来となる>。


写真:野田首相の解散発言を伝える街頭のテレビに足を止める人たち=14日午後4時52分、東京都千代田区、遠藤真梨撮影


写真:解散と総選挙の日程が決まったことを伝える号外が、JR新橋駅前で配られた=14日午後8時32分、東京都港区、白井伸洋撮影

<野田首相は、14日午後の党首討論で、自民党の安倍晋三総裁に次期通常国会での議員定数削減と、それまでの議員歳費削減の確約を得られれば「16日に解散してもいいと思っている」と提案。これに対し自民党は14日夕に幹部会合を開き、受け入れる方針を決めた。石破茂幹事長は記者団に「わが党として首相の発言を誠実に受け止め、協力する方針を決定した。手法は今後話し合う」と述べた>。

野田首相が16日に解散すると明言。これは驚いた。

ずっと解散を引き伸ばしてきたことも確かだが、ここで突然の明言。これはサプライズであり、自民党の安倍晋三総裁もおそらくこれを予想していなかったため、しどろもどろ。野田首相、見事である。

毎日新聞 - 野田首相:異例党首討論、安倍氏の虚を突く(2012年11月14日 22時01分(最終更新 11月14日 23時48分))
http://mainichi.jp/select/news/20121115k0000m010078000c.html


党首討論で野田首相が16日の解散について言及し、驚いた表情を見せる自民党の安倍総裁=国会内で2012年11月14日午後3時18分、宮間俊樹撮影

<野田佳彦首相は14日、わずか2日後の「電撃解散」を宣言した。「近いうち解散」を約束してから3カ月。国会の党首討論で衆院解散の時期を明示する異例の展開となった>。

<安倍晋三・自民党総裁「もうクリスマスセールが始まろうとしている。約束の期限は大幅に過ぎている」>

<党首討論の冒頭、安倍氏は笑みを浮かべながら決断を迫った>。

<これに対し首相は解散確約の条件として衆院の定数削減を突きつける攻勢に出た>。

<首相「1票の格差(是正)と定数削減も今国会中に実現する。それを約束いただければ、今日、具体的に提示させていただきたい」>

<あいまいな答弁を想定していた安倍氏は慌てた。首相が解散時期を提示する意向を示したのに「私の質問には全く答えていない」と批判し、格差是正を定数削減と切り離して処理するよう求めた>。

<「身を切る改革」で自民党との違いを訴え「追い込まれ解散」の印象を少しでも薄めようと「ばくち」を打った首相。来年の通常国会での定数削減などを迫ったうえで初めて解散時期を口にした>。

<首相「国民の前で約束してほしい。決断いただくなら今週末の16日に解散してもいい」>

<安倍氏「今、私と野田さんだけで決めていいはずはない。議論をすり替えている」>

<即答しない安倍氏に自民党内から「首相が解散まで踏み込んだことをまず評価すべきだ」(中堅議員)など不満の声が漏れた>。

<首相「後ろに区切りを付けて結論を出そう。16日に解散します。やりましょう、だから」>

<退路を断った首相の発言に安倍氏はようやく呼応した>。

<安倍氏「それ約束ですね、約束ですね、よろしいですね、よろしいですね」>

<電撃解散を武器に討論を優勢に進めた首相は衆院選への決意の言葉で締めくくった>。

<首相「覚悟のない自民党に政権は戻さない。その覚悟で頑張る」>

安倍氏のあわてぶりがおもしろい。野田氏が一本とった格好で、これは民主党にとって、選挙にもプラスになるだろう。

自民党はずっと、解散を引き出すためにゴネてばかりいたわけだから、ここで協力しなければ、自民党は立場を失う。野田氏は最高のタイミングで、解散カードを切ったように思う。

毎日新聞 - 野田首相:「16日に解散」表明 党首討論で(2012年11月14日 15時26分(最終更新 11月14日 20時18分))
http://mainichi.jp/select/news/20121114k0000e010266000c.html


党首討論で安倍晋三自民党総裁に対し「定数削減を必ずやると決断してもらえば、16日に解散してもいいと思っている」と発言する野田佳彦首相=国会内で2012年11月14日午後3時17分、藤井太郎撮影

<野田佳彦首相は14日、国会での党首討論で自民党の安倍晋三総裁に「16日に解散します」と明言した。これにより、衆院は16日に解散される見通しとなった。憲法の規定で解散の日から40日以内に衆院選は行われる>。

<前回衆院選は09年8月に行われ、同9月に民主党政権が誕生した。政権交代から3年余りで再び衆院選が行われることになり、マニフェストの破綻などで批判にさらされる民主党政権の実績が問われる選挙となる>。

<党首討論では、野田首相が8月8日に自民党の谷垣禎一前総裁との会談で約束した「近いうち解散」をめぐり、安倍氏が「約束の期限は大幅に過ぎている。一日も早く国民に信を問うことを勇気を持って決断していただきたい」と迫った。これに対し野田首相は▽赤字国債発行に必要な特例公債法案を今週中に成立させる ▽衆院小選挙区の「1票の格差」を是正する「0増5減」の法改正を今国会で実現させるとともに、来年の通常国会で大幅な定数削減を図る−−ことなどを安倍氏が確約すれば「今週末16日に解散してもいい」と提案した>。

<安倍氏はこれらの確約に応じなかったが、首相は「後ろに区切りを付けて結論を出します。16日に解散します」と明言し、「覚悟のない自民党に政権は戻さない」と次期衆院選への決意を示した>。

<民主党内では輿石東幹事長を中心に解散反対論が広がっているが、首相は公明党の山口那津男代表との討論でも「16日解散をやりとげたい」と述べた>。

<内閣支持率が低迷する中で野田首相が16日解散を決断したのには、日本維新の会など「第三極」勢力の選挙準備が整う前のタイミングを狙い、民主党が議席を減らす幅を最小限に抑える思惑がある。民主党内では第三極新党への参加を目指す離党の動きが続いており、内閣不信任決議案の可決などで政権運営が難しくなる懸念もあった>。

これはいい記事。ここまでに至る流れも概説しながら、野田首相が解散を決断した背景を解説している。野田首相が「第三極」の動きを見て、解散を前倒ししたことは間違いないと私も思う。

TPP参加を選挙の争点にするという野田首相の戦略も、実に正しいと思う。自民党はTPP反対の農村票に配慮せざるをえず、ここをあいまいにするしかない。「第三極」の中心勢力であるみんなの党、日本維新の会もTPP参加なので、これで自民党はTPP反対という印象が強まる。TPP参加を支持するかどうかは、要するに自由貿易か、保護貿易かという話なので、自民党が農村票に配慮してTPP反対ということになれば、自由貿易に反対し、保護貿易を支持するということになる。自民党総裁の安倍氏は本来、小泉路線の後継者だったくらいで、規制改革派であり、自由貿易派だと思うが、自民党の支持基盤を考えると、TPP参加は明言しにくいだろう。このあたりの話については、池田信夫氏の「TPPを総選挙の争点に」がわかりやすいので、一読をすすめる。私自身の見方については、以前「大阪維新の会「維新八策」 経済政策・雇用政策・税制について」に書いたので、あわせて読んでみてほしい。

民主党政権への支持はすでに地に堕ちており、総選挙で民主党が苦戦することは間違いない。それはもちろん、これまでの民主党政権がダメだったので、国民がウンザリしていることを意味する。しかしそれでも、野田首相になってからは、比較的まともな政権運営になりつつあったと思う。鳩山氏・菅氏に比べると、野田氏の力量は際立っている。民主党の苦戦は避けられないが、それでも最後が野田首相だったことで、民主党のダメージは最小限に抑えられたのではないか。解散カードという最後の一手も、最高のタイミングで出すことができた。民主党も苦しいが、自民党も「第三極」も、それほど優位には見えない。前回の総選挙は民主党の圧勝だったが、今回の総選挙は混沌としており、きっと面白くなる。


関連エントリ:
大阪維新の会「維新八策」 経済政策・雇用政策・税制について
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消費増税法が成立 消費税率は14年4月に8%、15年10月に10%へ
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「政権交代」の勝利
http://mojix.org/2009/08/31/seiken_koutai