MozillaはWebKitに乗り換えない
TechCrunch Japan - ここに来てMozillaの存在意義, WebKitに乗り換えないことの意味(2013年2月16日)
http://jp.techcrunch.com/archives/20130215why-mozilla-matters-and-wont-switch-to-webkit/
<今週初めにOperaは、Prestoと呼ばれる独自のレイアウトエンジンを捨ててWebKitに鞍替えする、と発表した。Google、Appleに続いて今度はOperaだから、オープンソースのWebKitエンジンは今、大きな支配的勢力になりつつある。しかしMozillaのCTO Brendan Eichは昨夜の記事で、Mozillaは当面、レンダリングエンジンを変えない、との意思を表明した。Mozillaは上記3者のような営利企業ではないので(そのことをふだん忘れている人も多いと思うが)、そのミッションも自ずから異なるのである、と>。
WebKitにのりかえると発表したOperaに対して、MozillaはWebKitにのりかえないと発表。そこにスポットをあてた記事だ。これはいい内容。
<Eichは、“Mozillaがふつうの企業なら、Operaと同じことをしただろう”、と言う。“しかしわれわれは企業ではないし、またデスクトップにおけるシェアは、横ばいもしくは伸びていると思われる。それには、Geckoがもたらした短期的な勝利、という側面もある”>。
<Eichはさらに続けて、“われわれがWebKitの波に乗ってしまえば、そのブラウザはWebKitを核とするChromeと何ら変わりのないものになる。しかし、そのようなモノカルチャーはWebに良いものをもたらさない。WebKit一色でなく、FirefoxがありInternet Explorerがある、という多様性が重要だ”、と言う。しかもEichの見方では、8つのビルドシステムがあり多様なフォークもあるWebKitは、単一の存在ではない(8、AppleのNitro、iOSバージョンのSafari、…)。グラフィクスのバックエンドやネットワークスタックも、それぞれ異なる。“Android 2.3のときWebデベロッパたちは、WebKitの不統一性に苦労したのだ”、とEichは書いている>。
「WebKit一色でなく、FirefoxがありInternet Explorerがある、という多様性が重要だ」というのは、まったくその通りだと思う。
<独自のエンジンを持つからこそ、Firefox OSやFirefox for Androidなどのプロジェクトも可能になる。中でもとくにEichは、今Firefoxが使っているGeckoエンジンの次世代版Servoに、大きな期待を抱いている。Servoは、マルチコアのCPUと大規模並列処理のできるGPU向けに最適化されている。だから、ブラウザのマルチスレッド化(==内部的並列処理化)ではAppleやGoogleよりも一歩進んだものになる>。
最近のMozillaは、Firefox OSやRust(自社開発したプログラミング言語)をはじめ、新技術をいろいろ出している。Geckoエンジンの次世代版「Servo」も、Rustで書かれているようだ(ソースコードはこんな感じ)。
私が主にウォッチしているPythonの世界だけでも、Mozillaはこの数年くらいで、優秀なPythonエンジニアをたくさん吸い込んでいる。エンジニアの層が厚くなってきているので、独自プロジェクトをどんどん立ち上げて、進めていけるのだろう。少し前のGoogleを思わせるような、勢いある感じが伝わってくる。
記事の最後には、こう書かれている。
<またMozillaについても、Eichが主張する独自路線の維持が本当に将来のイノベーションを招き寄せるのか、議論したいところではないだろうか。しかしWebも人間社会と同様、健全な多様性こそが、進歩の動因なのだ>。
これはまったくその通りだと思う。多様性こそ、進歩の動因なのだ。
関連エントリ:
ブラウザの違いをイラストでキャラ的に表現
http://mojix.org/2011/01/27/browser-chigai
http://jp.techcrunch.com/archives/20130215why-mozilla-matters-and-wont-switch-to-webkit/
<今週初めにOperaは、Prestoと呼ばれる独自のレイアウトエンジンを捨ててWebKitに鞍替えする、と発表した。Google、Appleに続いて今度はOperaだから、オープンソースのWebKitエンジンは今、大きな支配的勢力になりつつある。しかしMozillaのCTO Brendan Eichは昨夜の記事で、Mozillaは当面、レンダリングエンジンを変えない、との意思を表明した。Mozillaは上記3者のような営利企業ではないので(そのことをふだん忘れている人も多いと思うが)、そのミッションも自ずから異なるのである、と>。
WebKitにのりかえると発表したOperaに対して、MozillaはWebKitにのりかえないと発表。そこにスポットをあてた記事だ。これはいい内容。
<Eichは、“Mozillaがふつうの企業なら、Operaと同じことをしただろう”、と言う。“しかしわれわれは企業ではないし、またデスクトップにおけるシェアは、横ばいもしくは伸びていると思われる。それには、Geckoがもたらした短期的な勝利、という側面もある”>。
<Eichはさらに続けて、“われわれがWebKitの波に乗ってしまえば、そのブラウザはWebKitを核とするChromeと何ら変わりのないものになる。しかし、そのようなモノカルチャーはWebに良いものをもたらさない。WebKit一色でなく、FirefoxがありInternet Explorerがある、という多様性が重要だ”、と言う。しかもEichの見方では、8つのビルドシステムがあり多様なフォークもあるWebKitは、単一の存在ではない(8、AppleのNitro、iOSバージョンのSafari、…)。グラフィクスのバックエンドやネットワークスタックも、それぞれ異なる。“Android 2.3のときWebデベロッパたちは、WebKitの不統一性に苦労したのだ”、とEichは書いている>。
「WebKit一色でなく、FirefoxがありInternet Explorerがある、という多様性が重要だ」というのは、まったくその通りだと思う。
<独自のエンジンを持つからこそ、Firefox OSやFirefox for Androidなどのプロジェクトも可能になる。中でもとくにEichは、今Firefoxが使っているGeckoエンジンの次世代版Servoに、大きな期待を抱いている。Servoは、マルチコアのCPUと大規模並列処理のできるGPU向けに最適化されている。だから、ブラウザのマルチスレッド化(==内部的並列処理化)ではAppleやGoogleよりも一歩進んだものになる>。
最近のMozillaは、Firefox OSやRust(自社開発したプログラミング言語)をはじめ、新技術をいろいろ出している。Geckoエンジンの次世代版「Servo」も、Rustで書かれているようだ(ソースコードはこんな感じ)。
私が主にウォッチしているPythonの世界だけでも、Mozillaはこの数年くらいで、優秀なPythonエンジニアをたくさん吸い込んでいる。エンジニアの層が厚くなってきているので、独自プロジェクトをどんどん立ち上げて、進めていけるのだろう。少し前のGoogleを思わせるような、勢いある感じが伝わってくる。
記事の最後には、こう書かれている。
<またMozillaについても、Eichが主張する独自路線の維持が本当に将来のイノベーションを招き寄せるのか、議論したいところではないだろうか。しかしWebも人間社会と同様、健全な多様性こそが、進歩の動因なのだ>。
これはまったくその通りだと思う。多様性こそ、進歩の動因なのだ。
関連エントリ:
ブラウザの違いをイラストでキャラ的に表現
http://mojix.org/2011/01/27/browser-chigai