2013.05.05
工場が消えて、そこにマンションが建つ
NEWSポストセブン - 神奈川県川崎市・武蔵小杉が「地価高騰第1位」の理由とは(2013.05.04 07:00)
http://www.news-postseven.com/archives/20130504_185672.html

<道州制で地価上昇が期待される川崎市だが、すでに地価高騰は始まっている。3月に発表された東京圏(東京、千葉、埼玉、神奈川)の公示地価上昇率はトップ。そのなかでも特に発展著しいのが、東京の高級住宅街・田園調布と多摩川を挟んで向かい合う武蔵小杉駅周辺である。一部商業地の地価は昨年から10.5%増の12万円アップした>。

川崎市の地価が上昇していて、東京圏での公示地価上昇率ではトップだという。なかでも、武蔵小杉駅周辺が高いらしい。

<武蔵小杉といえば、JR南武線、横須賀線、湘南新宿ラインや東急東横線が乗り入れており、渋谷にも横浜にも15分ほどで行けるなど交通の利便性は高かったものの、駅前は渋い飲み屋などが建ち並ぶ下町情緒あふれるイメージだった>。

<それがいまやどうだろう。駅前にはタワーマンションが次々建ち、4月にはのべ床面積1万平方メートルを誇る駅直結の大型ショッピングセンター「武蔵小杉東急スクエア」がオープンした。「駅前は常に開発が続いているから駅までの道がずっと仮設状態」(地域住民)という>。

たしかに、武蔵小杉はどんどんマンションが増えているようだ。それはなぜなのか。

<それにしてもなぜ、武蔵小杉がこれほどの再開発のターゲットになったのか。不動産コンサルタントの長嶋修氏がこう説明する>。

<「川崎市は武蔵小杉を『第三都心』にする構想を打ち出しており、それに開発業者が乗った。交通の便がよい上に、武蔵小杉はもともと企業の社宅や工場が多い街で、NECのグラウンド跡地や工場跡地など再開発の余地が多かったのも大きな要因です」>

なるほど。川崎市が前向きなのに加えて、企業の工場跡地などがあって、マンション開発の余地が大きかった、と。たしかに、川崎市に限らず、工場跡地がマンションになる例はよく見かける。

マンションを建てるには、それなりに広い土地が必要になる。しかし、まとまった土地というのは、特に都心では、あまり出てこない。工場の跡地などでもない限り、なかなか用地を調達できない、ということだろう。

<昨年、注目を集めた東京スカイツリーも、セメント工場の跡地に建設されている。都市の再開発ラッシュは、皮肉なことに日本の製造業の衰退と反比例しているのである>。

これは、まさにその通りだろう。工場が消えて、そこにマンションが建つ。これが、いまの日本を象徴しているわけだ。


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