2004.08.06
いまのソーシャル・ネットワークはまだハックに過ぎない - Tim O'Reillyの見解
ONLamp.com : O'Reilly Radar: OSCON 2004
http://www.onlamp.com/pub/a/onlamp/2004/07/29/radar.html

OSCON 2004でおこなわれたTim O'Reillyの開幕講演からの抜粋。

「Google、eBay、Amazon.comが新しいkiller appだ」という自説の現状を確認しつつ、OrkutやGMailにも言及。

<Tim next turned his attention to social software and asked how many people in the audience had tried Orkut. Most of the audience raised their hands. He followed by asking how many people kept using Orkut and very few left their hand in the air. He said that all the social software services are a hack because we haven't really reinvented the address book.>

大意:Timは次にソーシャル・ソフトウェアに注意を向け、Orkutを試したことがある人はどのくらいいるか尋ねた。ほとんどの聴衆が手を挙げた。そして、どれくらいの人がOrkutを使い続けているかを尋ねると、手を挙げたままの人はとても少なくなった。彼は、すべてのソーシャル・ソフトウェア・サービスはまだハックに過ぎず、わたしたちはアドレス帳を真に再発明していない、と述べた。

そして、Timはこのように言う。

<We have to Napsterize the address book and the calendar so that we own the data about our social network but we are able to query our friends about who they know.>

大意:わたしたちは、アドレス帳とカレンダーを「ナップスター化」しなければならない。そうすれば、ソーシャル・ネットワークのデータを自分で所有しつつ、誰が誰を知っているかという友人情報を検索できる。

Tim O'Reillyがソーシャル・ネットワークを「ハック」だと言う意味は、まだ「とりあえずできるようにした」という段階に過ぎず、その本来の可能性にまで至っていない、ということだろう。

ソーシャル・ネットワークのデータを自分で持てるようにすべき、という点については、私もこのTim O'Reillyの見解に賛成だ。

Tim O'Reillyは「ナップスター化」という言い方で、自分のPCの一部をネットワークにさらすP2Pモデルを意味しているようだ。私はP2Pモデルも悪くないが、まず「ホスティング」モデルが浸透しやすいように思う(この話は以前、「Google、Orkutを統合へ / これからのソーシャルネットワーク技術の方向」に書いた)。

データをクライアントPCに置くか、自分が管理するサーバの上に置くかという違いはあるものの、基本的にソーシャルネットワークの「データ」を「自分のもの」にできなければダメだ、という点では同じだ。

アプリケーションとデータは分離したほうがいい。そのほうが、アプリケーションとデータ、どちらの価値も増す。

ソーシャル・ネットワークは、まだ始まったばかりだ。