2005.07.22
カナモジカイと山下芳太郎
「カナモジカイ」という団体がある。

財団法人 カナモジカイ
http://www1.ocn.ne.jp/~kanamozi/

<私たちは、日本語の表記(文字)について考え、その改革をめざして運動しています。
 漢字は字数があまりにも多く、また、使い方も音読み・訓読みそれぞれいろいろあり、規則性がなさすぎて学習にムダな時間がかかり、しかも日本語の本来のすがたをゆがめています。また、もとからの日本語にたいしては、漢語の乱用の結果、これにおきかわってしまい、そのため聞いただけでは分かりにくい言葉が多くなっています。
 漢字をあつかうことのできるパソコンやワープロの出現により、漢字による事務の非能率についての問題も解決されたかのように考える人もいますが、漢字変換をしなければなりませんので非能率はかわりません。
 カナモジカイは、この問題に早くから気がついた人たちにより、1920年に創立され、日常使う文字としては、漢字を廃止して、横書きのカタカナを用いることをことを訴えて運動してきました。世間ではカタカナは読みにくいと感じる人が多いのですが、これは書体の改良によって解決できます>。

私がこのカナモジカイのことを初めて知ったのは、たしか数年前、小泉均のタイポグラフィの本を読んだときだ。

最近また文字に興味が出てきて、このカナモジカイのサイトを初めて見てみたら、面白い資料がたくさんあった。

「カナモジカイ」および「国語国字問題」関係資料
http://www1.ocn.ne.jp/~kanamozi/siryou.html

カナモジカイの創立者は山下芳太郎(1871~1923)で、カナモジカイの前身にあたる仮名文字協会を1920年(大正9年)に設立したそうだ。

山下芳太郎著「国字改良論」(1920年初版)
http://www1.ocn.ne.jp/~kanamozi/yamasita-y.html

山下芳太郎は、このカタカナによる国字改良に身を捧げた。遺言もカタカナであり(内容も「コクジ ノ カイリョー」が重要だとするもの)、お墓までカタカナなのだ。
この人は面白い! 私はこういう人が大好きだ。

日本語の文字の問題については、私は以前、「漢字の可能性」で書いたことがある。漢字を使う中国語や日本語は「見るための言語」で、読みとる(decode)のは早いが、書く(encode)のは遅い。これには、いい面も悪い面もある。

私は漢字も好きだし、まったく不要だとは思わないが、日常用いる表記については、現状よりもひらがな、カタカナに大きくシフトしたほうがいいような気はする。

カナモジ論」によると、漢字制限論の先駆は福沢諭吉で、1873年(明治6年)に出した「文字之教」で、<ムツカシキ漢字ヲバ成ル丈用ヒザルヤウ心掛ルコトナリ>と述べているそうだ。

この文字の問題はもっと多くの人に注目されてもいい面白いテーマだと思うし、ITの発達によって、ふたたび脚光を浴びてもおかしくないホットなテーマだと思う。