2005.08.05
偉くない管理職
CNET Japan : [近藤淳也の新ネットコミュニティ論] 開発者が楽しく仕事できる環境とは
http://blog.japan.cnet.com/kondo/archives/002275.html

はてな近藤さんのブログは、最近いちばん更新が楽しみなブログのひとつだが、この最新エントリは特に面白い。

XPのペアプロも、開発合宿も、残業しないメリハリ流も、「絵に描く」のはかんたんだが、はてなではちゃんと実践していて、効果をあげているというんだからスゴイ。

しかしそれにも増して、「偉くない管理職」というのが、個人的にはツボにハマった。

<人を管理する仕事は上司の仕事であり、社員は上司の管理の下で業務にいそしむ、といった上下関係ではなく、例えば開発者が「この案件を10日後に完成したいので工程管理をして欲しい」と若い社員に管理をお願いする、といったものです。実際に最近では、新しく入った社員が年上の開発者のタスク管理を行う、という方法を試していますが、うまく回り始めているように思います>。

開発者よりもマネージャーのほうが「上司」になってしまうのは、IT業界では当然の大前提だが、これをひっくり返して、経験のある開発者のほうが上で、マネジメントやタスク管理のほうを若い社員にやらせる、という話。

これにはウロコが落ちまくり。よく考えればその通りであり、開発のほうが高度で、マネジメントやタスク管理のほうがカンタンだという場合は少なくない(もちろん「スキルの質」は違うのだが、そのスキルを持つ人材の「調達可能性」「希少性」という意味で)。

そしてIT業界では、マネジメントや進捗管理している人が技術をあまり理解していないだけでなく、開発者よりもその人のほうが「エラい」という上下関係があるために、現状を反映してプロジェクトを軌道修正することができず、「デスマーチ」(プロジェクトが失敗へ突入していくこと)が進む、ということがよくある。

マネジメントやタスク管理を「部下」がやることにしたほうが、プロジェクトがうまく回るというケースは、かなり多そうな気がする。

「王様は裸だ」と指摘するような、「あたりまえと思われているが、よく考えればおかしなこと」にズバリ切り込むという近藤流が発揮された、すばらしいアイディアだと思う。