2006.01.31
藤子不二雄A 『まんが道』
私はふだんマンガをほとんど読まないのだが、なぜかマンガが読みたくなり、
本屋のマンガ売り場をウロウロして、藤子不二雄A『まんが道(みち)』が目に留まった。
(「藤子不二雄A」の正式な表記は、Aをマルで囲う)
藤子不二雄の2人の成長を描いたマンガで、以前誰かが名作だと言っていたのを覚えていた。


(リンク先はウィキペディア「まんが道」)

とりあえず第1巻だけ買って、帰ってさっそく読んでみた。
もう、激しく感動。
戦後に暮らす、2人の田舎少年は恥ずかしいほどにピュアで、
しかし2人のマンガに賭ける熱い思いが胸を打つ。

手描きの回覧誌『マンガ少年』を作るくだりとか、巨漢で大阪弁の同級生・激河大介との交流など、
ピュアな田舎少年を描きながらも、テキパキとした構成、スピーディーな展開が気持ちいい。
泣けるのに、くどくならずサッパリしていて、さすが『ドラえもん』の作家だ。

昔のいい映画なんかと同じ、「昔のもののモダンさ」があり、古いどころかじつに新鮮。
藤子不二雄の少年時代を描いた内容も、まさに「Stay hungry. Stay foolish.」という感じで、
ものづくりの原点ともいうべき、永遠のクラシックだと思う。

先日書いた「すべてが手軽になってしまうと、何かが失われるような気もする」という疑問に対して、
この『まんが道』はひとつの答えになっているような気もした。
戦後の田舎少年の純真さとハングリーさ、まんがや手塚治虫へのストレートな憧れが、2人を育てたのだ。

以下、この 『まんが道』第1巻の目次を書いておきます。
早く続きが読みたいな。

第1節 まんが狂の少年満賀道雄が、村のいじめっ子に、のらくろのメンコを描いてやる
第2節 終戦となり、転校した満賀道雄は、才野茂に会い、その驚くべきまんがの才能に、ショックを受ける
第3節 古城公園のほりばたで、才野茂は、将来まんが家になるのだ、という決心を満賀道雄に話す
第4節 満賀道雄と才野茂は、反射幻燈機で上映するためのまんが物語を、競作することになる
第5節 幻燈まんがの勝負で、才野茂に負けた満賀道雄は、まんがの勉強を、フリダシからやり直す
第6節 中学生となった満賀道雄と才野茂は、ふたりだけのまんが雑誌を発行することを計画した
第7節 満賀道雄と才野茂の共同制作のまんが雑誌「マンガ少年」創刊号は、84ページの肉筆回覧誌だった
第8節 満賀道雄と才野茂は、「マンガ少年」の第一番目の読者に、桐井文男の姉の紀子を選んだが、紀子は…
第9節 高校生になった満賀道雄と才野茂は、戦後児童まんがの革命的名作『新宝島』にめぐり会う!
第10節 「これからのまんがは、リアル・まんがや」と、巨漢激河大介は豪語して、満賀道雄と才野茂を圧倒する
第11節 『ロスト・ワールド』を読んだ満賀道雄と才野茂は、手塚治虫先生にあこがれて、ファンレターを出す
第12節 満賀道雄と才野茂は、手塚先生の返事と、高岡新聞に応募したまんがの結果をまっていた
第13節 公園の二つ山で、満賀道雄と才野茂は、手塚先生のはがきにむかって、まんが家になることを誓う
第14節 高校二年の三学期、満賀道雄と才野茂は、雑誌「漫画少年」を知り、読者まんが欄に応募するが…
第15節 「漫画少年」に落選した満賀道雄は、入選した才野茂にワダカマリを持つが、帰郷した桐井紀子は、そんな道雄をさとす
第16節 「今度会う時は、プロのまんが家や!!」と激河大介は、満賀道雄と才野茂に言いはなって、大阪へたつ!!
第17節 満賀道雄と才野茂は、長編科学空想まんが『ユートピア』に着手するが、連載まんがの依頼がとびこみ、中断する
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