2008.05.12
ロームの不揮発ロジック技術はソーラーと組み合わせると面白いのでは
マイコミジャーナル - ローム、不揮発ロジック技術を開発 - 待機時の消費電力をゼロ化
http://journal.mycom.co.jp/news/2008/05/08/017/index.html

<ロームは、LSI内部のデータ記憶領域に不揮発性のロジック回路を組み込んだLSIの開発に成功したことを発表した。
(中略)
 今回開発されたLSIでは、強誘電体素子に新開発の強誘電体セパレート構造を採用することにより、ロジック回路の負荷容量を抑え、性能と信頼性を損なうことなく、レジスタ領域を不揮発化することに成功、電流を流さなくても演算処理状況を保持することを実現した。
 この技術を用いた場合、例えば、ゲーム機用のCPUを置き換えた場合、CPUの消費電力を約70%削減できることが確認された。また、情報の書き込み/読み出しを行うブロック以外をスリープモードにするなどの設計変更を行うことで、CPUの消費電力は85%以上削減可能としている。さらに、ブロック内部のレジスタ・演算回路レベルで細かく電源のオン・オフを管理すれば、CPUの消費電力を95%以上削減することが期待できるとしている>。

これはすごい技術じゃないだろうか。

<電流を流さなくても演算処理状況を保持>できるということは、ここにもあるように、まず待機時などの消費電力を抑えられるのが大きそうだ。

ロームのリリース原文「待機時の消費電力をゼロ化!ロームが世界で初めて不揮発ロジック技術を開発」のほうでは、消費電力を抑えるだけでなく、PCの起動時間を大幅短縮できるという例も挙げられている。PCの処理状態をまるごと保持できれば、PCをシャットダウンする必要もなく、そのまま停止・再開できるわけだ。

しかし、「処理を途中で中断し、その状態を電流なしで保持できる」ということは、省電力や時間短縮だけでない、大きな可能性を開くのではないだろうか。

例えばこれで、ソーラー(太陽光発電)で動く小型PCを作れないだろうか。ソーラーで内部に充電し、残量がなくなってきたら勝手に止まり、また充電できたら再開する。デスクトップPCは無理にしても、機能を絞った小型サーバくらいならできそうな気がする。

「電流を流さなくても処理状態を保持できる」ということは、「ソーラーなどの弱い電力で、ちょっとずつ動かせる」ということだと思う。

例えばサーバPCの場合、小さな処理能力でもできることはたくさんある。多少の光さえあれば電源コードは不要となれば、かなりいろいろなところに置けるので、応用は無限大ではないだろうか。

情報処理だけでなく、小さなロボットみたいなものも、「残量がなくなってきたら勝手に止まり、また充電できたら再開する」という同じ原理で動かせる気がする。小さなロボットであれば、情報通信と違って、物体そのものを運べるのが強みだろう。

他にもいろいろな応用が考えられそうだ。以前「スローコンピューティング」について書いていた、コミュニティーエンジンの中嶋さんなどに話を聞いてみたい気がする。

関連エントリ:
スローなコンピュータ
http://mojix.org/2005/07/06/150029