2005.07.06
スローなコンピュータ
Ringo's Weblog : 遅いコンピュータ
http://www.ce-lab.net/ringo/archives/2005/07/05/index.html

<ここ2年ほど「極めて遅いコンピューターが世界を変える」という考えが頭を離れない。
ネットに正しいやりかたで接続されている人口を10億人よりも多くし、64億人に近付けるためには、
スローコンピューターが必要なのだ>。

チープ革命で、スペックのいいマシンがありあまるほどゴロゴロしているというのに、なぜいまさらスローなコンピュータなのか?

最近流行りの「スローライフ」同様、コンピュータもスローでいいじゃないか、みたいな話だろうか?

なんて一瞬思ってしまうが、そうではない。

<通信と処理能力と入力デバイスのチープ革命。
それと並行して進む、極小ハードウェアの進化。
風力や太陽光などの自然エネルギーの利用方法の高度化。
音声入力やペン入力などのユーザーインターフェイスの革新。
XMLをはじめとするネットワークアプリケーション開発基盤の整備、開発効率の向上。
誰でもが自由にアクセスできる、フリーコンテンツの質・量ともの圧倒的な増加。
ネット文化とネットビジネスに一般の人が理解を示しはじめたこと。
自分が、日本という、極小デバイスが大得意な国にいること。
世界中のいろいろなところで情報格差が広がっていること。
シリコンバレーの第一成功者世代が投資先を探しはじめたこと。
自分が、最前線でプログラミング作業をすることをあきらめたこと。
環境問題や南北格差についての認識が高まりつつあること。

さまざまな要素がそろってきたので、そろそろ、スローコンピューティング
を実現するための活動を本格的に始めたいと思う。
3年前だったら「荒唐無稽である」の一言で終了していたところだが、今はちがう。
現実的な時間内にできると確信できるようになった>。

これは革命的なまでに面白いビジョンだ。

たしかに状況は揃ってきているようだし(SWOTのO)、また彼(ringo)のことを直接知っている人ならば、彼ならばこれをできる能力がある(SWOTのS)と思うはずだ。

<スローコンピューティングの第一回の勉強会は、
アフリカでやることになるのだろう。
今日はケンさんとアフリカに取材に行く話をしていたが、
取材よりは、コンセプト映像をつくるための撮影ツアーのほうがいいと思った>。

というあたりは、あいかわらずのブッ飛び具合に笑ってしまったが(ちなみにケンさんとは、PICSY鈴木健)、「コンセプト映像」を優先させるという考え方はさすがだと思う。

個人的には、これはいわゆる「ユビキタス」のコンセプトにも近いところがあると感じた。極小のサーバみたいなものが、いたるところに置かれるようなイメージだ。あるいは、人間が操作する端末としてならば、「ケータイ」もこれと重なってくる部分が多い気もする。

普及の観点から行けば、アフリカよりも、やはりこういうのは日本やアジアから広まっていくというイメージがある。

それでも、あえてアフリカを強調する意味もたしかにあると思う。インターネットは、コンピュータを通じて人間をもつなぐものだから、アフリカの人たちにネット端末をばら撒くことは、「アフリカを世界に接続する」ことになりそうだ。

マシンや資源がありあまって、活用されなくてもたいした問題ではない。地球上に、活用されないまま死んでいく人間がたくさんいることのほうが、はるかに重大な問題だ。

技術、マーケティング、政治など、いろいろなファクターがからむので、ぜひいいパートナーと組んで、成功させてもらいたい。

補足(7/6):
そういえば、「パケットビークル」というのもあった。彼が「スロー」と言い出す場合、単に「もっとのんびり生きようよ」というのではなく、何か革新的なものを含んでいる。